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あの日から数日が経った。
あの日白石くんからメールが来たけど、返信ができていない。教室で見かけてもなんだか恥ずかしくて目も合わせられなくて、避けてしまっている。「なつ、白石くんと別れたの?」と休み時間に友だちに言われて、なんと言い返したらいいかわからなくて、ただ苦笑いを返すしかできなかった。

「田内さん、ちょっとええ?」

帰ろうとしたところ、白石くんに話しかけられた。そっと白石くんに目を向けると真剣な、ちょっと私の様子を伺っているような態度だった。断る理由がなく、黙って頷いくと白石くんはホッと小さく息を吐きだした。

「この前はごめん」

廊下を歩きながら小さな声で謝られる。

「ううん、私こそ突き飛ばしてしもてごめん。びっくりして・・・」

「せやんな、いきなりあんなことされたらびっくりするやんな」

ごめんな、と眉を下げてもう一度謝られる。

「俺のこと、嫌いになってしもた?」

不安げに聞いてくる白石くん。立ち止まって白石くんを見ると、彼も立ち止まった。

「・・・そんなこと、ないけど、」

なんと返したらいいのだろう。その後の言葉が出てこない。白石くんのことは嫌いじゃない。白石くんと一緒にいてかっこよかったり、優しかったり、余裕っぽく見えて、ちょっと独占欲が強かったり、彼の色んなところを知って、どんどん惹かれていっている。ただ、好きなのかと言われるとはっきりとわからなくて、他の子みたいに付き合いたいと思うのかといわれると自信がない。私の言葉を待ってくれている彼にもう一度目を向ける。

「ちょっと考える時間が欲しい」

私の言葉に彼は一瞬固まったが、

「・・・わかった」

と寂しげに微笑みながら一言だけ返してくれた。



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