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女の人っていうのは、カッコいいところを見せたら好きになるようなもんやろ?
俺にとって一番カッコええと考えるんはやっぱりテニスをしてるところなんやと思う。そりゃやっぱりもう中学校からやっとるし、全国やって行くし、特技と言ってもええと思う。それに、俺のフォームは皆に教科書のように綺麗って言われるし、見ててカッコええはず。プラスや、部活で頑張ってる姿っちゅーのは女の子の胸キュンポイントやろ?・・・違うん?

そんなこんなで田内さんを部活見学に誘ってみた。
俺のアピールが足らへんのかな、なんて言うか、今ひとつ足らへん気がするねん。そりゃ、最初のころに比べたら田内さんが俺の事を好きになってきてるのはよぉわかる。せやけど、何か、何かよおわからへんけど、今ひとつ足らへん気がするねん。今のラブラブ度?せやなぁ・・・、やっと親しい友だちになったって感じなんちゃうかなぁ。俺としてはもっと恋人らしくなりたいというか、ラブラブしたいというか、その、あれや、彼女のLOVEを感じたいわけや。LIKEではなくて、LOVE。言っとくけど、冗談やないからな。LIKEではなくLOVE、ここ重要やねん。好いてくれてんのはわかんねんけど、たぶんLOVEではなくてLIKEやねん。まあ確かにLIKEからLOVEという順序は間違ってへんねんけど、俺がもう好きやからかな、はよう俺の事好きになって欲しいって思ってまうねん。部活に彼女が見学に来るなんて、やっぱ憧れるやん?俄然やる気になるやん?絶頂やん?

オサムちゃんに連れられてやってきた田内さんはちょっと居辛そうにキョロキョロしとった。そんな彼女がかわええなと思いながら手を振ると振り返してくれた。

・・・あかん、めっちゃ嬉しい。

彼女から視線を移し練習に戻るも、心は躍ったままで、物凄く練習する気になった。ええ所見て欲しい。そう思った。

それからの練習は絶好調と言ってもエエほど、調子が良かった。やっぱり好きな人が来てくれるっていうのはええな、いつも以上に頑張ろうと思えるし、カッコ悪い所見せへんように自分の行動も考え直せる。勿論、練習中ずっと彼女の事を考えとったわけではないで?こう見えても一応部長やし、練習を回さなアカンからな。けど、ふとした瞬間に彼女を見ると、田内さんも俺の事を見てくれてて、好きっちゅうのはこういうことなんやろなぁと思ったんよ。いつも俺ばっかり見とったけど、今日は田内さんが俺の事を見てくれとる。いつもとは逆パターンで、好きな人から思われる幸せって言うんかな、うん、誘ってみてよかったなと心から思った。

クロスショットが決まる。

よし、と小さくガッツポーズをし、ふと彼女の方を見ると目が合って、声を出さずに口パクで話しかけると小さく頷いてくれた。・・・見てくれとったんや。よし、ともう一度小さくガッツポーズをする。

「イチャつくんはほどほどにしーやー」

オサムちゃんがベンチに座りながら叫ぶ。

オサムちゃんに何言うてんの!と言うてる彼女の顔は真っ赤で、思わず顔が緩んだ。
うん、ええなぁこういうの。付き合ってるって感じがする。

オサムちゃんをバシバシと叩きよる田内さんを見てると、俺の視線に気づいた彼女がこっちを見た後、照れ臭そうに視線を逸らした。

「オサムちゃん俺の彼女あんまいじめんといてやー」

そう叫ぶと、目を大きくしてこっちを向いた彼女の顔はさらに赤くなった。
もっと照れさせたら、俺のことで一杯になるんやろか。俺の事もっと意識してくれるんかな。ぎゅっと抱きしめて、照れてる顔にキスしたら、俺のことだけ考えてくれるんやろか。あかんな、俺に惚れてもらうために練習見に来てもらったのに、俺の方がなんか意識してきたわ。・・・なんか、色々と考えよったらムラムラしてきて練習どころじゃなくなりそうな気がしてきた。


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