02

今日は学校は休みや。
と言っても、部活はあって、朝から俺らテニス部は精を出して頑張っとる。「白石はんは今日もええホームしてはるわ」と銀に褒められ、当たり前やと絶頂しとった。やっぱり無駄の無い動きをするのが一番やな。
今日は授業がないから田内さんには会えらへん。今日は何してるんやろ、家でゆっくりとしとるんやろか、それとも友だちと遊んでるんやろか、休憩時間に色々と想像しながら練習をこなす。今週、ずっと一緒に居られたから、会えれへんというのは結構寂しいもので、今日一日俺耐えられるんやろか、そんなことを考えとった。

練習は昼までで、部活を終えた俺らは着替えて皆で帰る。帰りどっか寄ろか、そんなことを言いよったら、一通のメールが届いた。

「・・っ、」

「お、おい、どないしてん!」

メールを開いて、内容を見た瞬間、俺は走り始めとった。


どういうことやねん。


メールには田内さんがクラスの男子と話しとる写メがついとった。何となくやけど、暗さからしてどっかのカラオケやろう。どういう事やねん、意味わかれへん。別にな、遊ぶなとは俺も言えへんよ。色んな事情があるやろし、友だち付き合いっちゅーのもあるやろからな。けど、やっぱりなんか嫌やって思ってん。俺以外の男と一緒に、しかも俺の知らへんところでおるとかそんなん・・・。

メールを送ってきた男子に場所を聞き出し、ダッシュで店に向かう。
こんなに焦るのは久しぶりで自分でも自分が分かれへんかった。けど、落ち着くことなんて出来んくて、ただ勝手に動くがままに体を動かした。

ドアを開いた瞬間、固まった。田内さんと男子が楽しそうに話しとった。・・・あかん、そんなんあかん、嫌や。相手の男子を思いっきり睨みつける。そんなつもりはないと「ちゃうねん」と言いたそうに手を横に振っているが、そんなん知らへん。喋っとったのは事実やしな。

とりあえず、この場から田内さんを連れ出すために手を引っ張って店を出る。行き先なんて考えておらず、ただ道を歩いた。ただあの場からできるだけ遠ざけたかった。

歩いているうちに少しずつ落ち着いてきて、今さっきまでの自分の行動を振り返り始めた。・・・俺、結構強引なことしたよな。うわ、と思ったが、やってしもたことは仕方がない。そうや、仕方ないんやと言い聞かせるも、これからどうするか考えなあかん。とりあえず、一緒に男子とおったことが嫌やったことは伝えようと思った。・・思ったけど、いざ言おうと思ったらなかなか言葉に出していうことなんてできず、詰まりながら言葉を繋ぐ。うわぁ、俺、カッコ悪。顔を覗きこんで、俺の気持ちを察してか、微笑みかけてきた彼女にそう思ったけど、『わかった』と何も言い返さずに俺の想いを受け止めてくれた彼女の配慮が嬉しくて、思わず下唇を噛みしめた。・・・抱きしめたらアカンやろか、近づきたい衝動に駆られながらもグッと耐えた。ああ、どうして田内さんは俺の気持ちをこんなにも掴むんうまいんやろか。はぁ、俺も頑張らなな。



抱きしめるんがあかんのやったら・・・、キスはええやろか?

駅まで送る際、手を繋ぎ、時々見上げてくる顔を見ながらそんなことを考えとった。


[ 14/29 ]




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -