02

昨日の帰りは色々と騒がしかった。

授業が終わり、田内さんと別れ、部活に向かうと、予想していた通り騒がしい奴らがこれでもかというほど飛びついて来た。適当に流しながらも感じるんは、俺と彼女が付き合っているということ。口では言うてるけど、他の人から言われると改めて付き合ってるんやなと思ったんや。

部活が終わり、まだ聞いてくる奴らにはよ帰る様に促す。
恋をしとる蔵リンは一段と男前やね!と、クネッとしながら言うてきた小春に、はいはい、わかったわかったと返すと、いけず〜と言われた。・・・よおわからん。

そういえば、グリップテープが切れとったことを思い出し、皆と別れ、いつもいくスポーツショップへ向かう。テニスの事を考えとっても、ふとした時に彼女の事を思い出して、自然と口元がニヤけた。あかんあかん、歩きながらとか俺変態に見られるやんか。

ニヤけたリ、戻したり、怪しい表情を繰り返しながら歩いていると、ふと視線の端に可愛らしいネックレスが見えた。立ち止まり、視線を横に移すと、いかにも女の子が好きそうなジュエリーショップで、ウィンドウガラスに可愛らしいネックレスがたくさんならんどった。

・・・田内さんもこういうの好きなんやろか。

正直言うと俺にはようわからん。リストバンドとかパワーリストとかやったらわかるけど、ネックレスとかブレスレットって邪魔そうやん。なくてもええと言えば、なくてもええもんやん?せやけど、女の子ってこういうの好きそうやし・・・。
そう思っとったら、自然と足が店の中に向かっとった。

案の定、店の中は女の子ばっかりで、学ラン着てテニスバックを握っとる俺は変に注目を浴びとる。男一人やしな。チラチラと見られるんは気になるけど、そんなことやったら普段からよく慣れとるし、気にせず店の中をキョロキョロと回る。色んなもんがあるねんなぁ、と思いながら、ぶらりと一周。どういうのが好きなんやろ、ハートとか?好きな色もよくわからんし・・・。とりあえず、店出よか、そう思った時、目に入ったものに足が止まる。

それを見た瞬間、何故かよくわからんけど彼女に似合いそうやなと思った。なんでやろ、わからん。けど、このネックレス付けてるとこ見たいなと思った。それを躊躇うことなく、サッと手に握ってレジへ向かう。レジのお姉さんに「彼女さんにですか?」とにこやかに言われ、はいと答える。じゃあ、可愛らしくラッピングしておきますね、と言ってくれたので、お願いしますと返した。

可愛らしい袋を受け取り、店を出る。
明日、これを渡す時彼女はどういう顔するんやろか。喜んでくれんのやろか、それとも困られる?どっちかわからへんけど、渡す時のことを考えると顔が緩んできた。

シルバーのリーフのネックレス。葉の上に雫のように白の半透明の宝石がついとって、光に反射してキラリと光る。彼女の首元でそれがあるところを想像すると、めっちゃ嬉しいな。・・・ああ、そうか。世の男が彼女にネックレスをプレゼントする理由がわかった気がする。彼女が自分のやと静かに示すため、か。一種の首輪みたいなもんやな。・・・付けてくれるやろか。受け取ってくれへんかったらどうしよ。いやいや、大丈夫や。

ちょっとぐらい君が俺のんやと示させてもらってもええやんな。心と体はまだかもしれへんけど、形だけでも俺の彼女ってさせてな。





・・・あ、グリップテープ忘れとった。


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