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「これなんやけど、」

白石くんと付き合う流れになって3日目。
このよくわからない流れをどうにかしようと思っていたが、白石くんに受け流され続けている。いじめられるとかそういうのは今のところなくて、影でこそこそと言われているのだろうな、と思う程度である。まだ3日目だから様子見と言った所だろうか。
今、昼休みなんやけど、相変わらず前に座っている白石くんはニコニコしていて、所謂イケメンスマイルと言うのはこういうことを言うのだろう。

ご飯を食べ終え、お弁当を終う。ご飯を食べ終わった後と言うのは結構厄介で何を話せばいいのやらわからない。大体白石くんが話を振ってくれるんだけど、反応にも困る。
そんな感じで、またどうしようかと考えていると、名前を呼ばれ視線を彼に移した。ポケットに手を突っ込んで私の前に差し出した彼の表情は少し照れているような、私の様子を伺っているような、少し緊張しているように感じた。

彼の手元に視線を移す。

「これな、田内さんに似合うと思って」

手の平に可愛らしいリーフのついたネックレスがのっていた。

「え…、いやいやいや。それはあかんやろ」

「あかんって、何で?」

「だって…」

皆に見つかったら何を言われることか…!

まぁ、そんな本音はいうことなんて出来ず、「悪いし…」と濁した。

「ええよ、俺が渡したいだけやし」

と言われても、受け取れないもの受け取れない。こんなのもらったら、さらに断りにくいやんか。
はい、とこの場でネックレスをつけようとジェスチャーしてくるが、こっちとしてはいやいや、である。

「ほんま強情な子やなぁ」

めげずに断っていると、はぁ、と彼は肩を降ろした。

「たかがこんなことやのに、断るとか謙虚なんもええけど、謙虚すぎるわ。こういう時は素直に受け取っとくもんやで」

「そんなこといわれても」

「そういうもんや」

はい、と私の手をとってネックレスを手渡してきた。

「付けたろ思ったけど、今回は見逃したる。家でつけてな。絶対似合うから」

そう言って目を細めた表情に胸が高鳴った。


白石くんは慣れてるかもしろへんけど、ほんまこういうのどうしたらええかわからんようになるから困んねん。




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