日頃の感謝をこめて


味見OK。

大丈夫ちゃんと生きてる人に渡しても死にはしないOK。

包装準備OK。

踏み込みOK。


狙うは顔面、3、2、1!



「ハロゥ、グッモーニン!ワッタルさーん!!」

「? あれ、少女ちゃん?どうし…」

「ハッピーバレンタイィィイイン!!」

「リバース!」

「え、ちょっそんなっ、ぶほぉおおお!!」



ワタルさんに会う為、セキエイリーグまでカイリューに乗り突っ込んだまでは良かった。ワタルさんが仕事している部屋までドシドシと歩いてノックもせずに扉を開き、中で優雅にお茶をたしなんでいた龍様に向かって昨日丸一日キッチンで奮闘した“ブツ”を容赦なくぶん投げた。
ワタルさんはいきなりドアを開けた事には気にせず、ぶん投げたソレにいつもの大人の余裕の笑みを崩さずにそれをキャッチし、素早く机の端にあった何かを掴んでそれを自分に向かってぶん投げて来た。いきなりの事だったから避けきれずにモロ顔面に当たってしまった。

っていうかワタルさん、それちょっとリバースと違う……なんて考えながらよろよろしていたらワタルさんがケラケラと笑った。



「ははは…ありがとう。ハッピーバレンタイン、少女ちゃん」



先程投げた小さな包みをチラチラと見せながらワタルさんは嬉しそうに笑った。

因みにワタルさんが自分に投げてきた物体はチョコが中に入っているであろう綺麗に包装された袋だ。これはもしかしなくても逆チョコじゃあるまいか。おぉ…と異常にキラキラとしているであろう己の瞳を見てワタルさんも満足そうに笑った。



「ありがとうワタルさん!」

「どういたしまして。市販だけどね」

「わかってますよー、それに台所に立ってチョコ作るワタルさんとか…………ブフッ!ウケるー!」

「殴るよ少女ちゃん」



龍の神童へ

【日頃の感謝を込めて】


2/14 バレンタイン記念




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