石化する理由はなに



ぎゃああああと玄関の方から叫び声が聞こえた。きっと、いやあれはどこからどう聞き直してもダイゴさんだ。

何だ何だと玄関まで行くと番犬の役目を全うしているウィンディに噛みつかれていた。何だこの人はまた不法侵入したのか?



「……何やってるんですかダイゴさん。また不法侵入したんですか」

「ああ少女ちゃん!4日と6時間32秒振りだね!」

「細けぇよ」

「違うんだ!違うんだよ少女ちゃん!今日はちゃんと玄関から入ろうとしたんだ!だけどいきなり君のウィンディが噛み付いて…」

「偉い!良くやったウィンディ!もっと噛めもっと噛め」

「ワン!」

「えぇぇちょっ、少女ちゃん待っやめてぇぇえ!!!」



******



噛みに噛み付かれてボロボロになったダイゴさんを引きずって一応部屋に招き入れた。
グズグズと鼻をすする自称ホウエンチャンピオンに小さくボクは溜め息を着く。

今日はヘタレの様だ。


本当にこの人チャンピオンかよと言いたくなってくる程のヘタレっぷりだ。
カントーチャンピオンのワタルさんやレッド、シンオウチャンピオンのシロナさんとは偉い違いだよこの人。



「で、何しに来たんですかダイゴさん」

「只遊びに来ただけだよ。そうだね、強いていうならこの時間帯洗濯物を干す時間だろうから是非一緒に」

「帰れ。今すぐ帰れサンダースミサイルバリ!!」

「わぁあああああ!!!!!」



何だか変な発言をするダイゴさんを尻目にトコトコとやって来たサンダースを手で手繰り寄せて、サンダースに指示を入れると直ぐ様行動に出る…が咄嗟にソファーに隠れたので未遂に終わる。

や、サンダースも本気でやろうとはしていなかったけど。


まったくこの人は。
黙っていればカッコいいのに性格が本当に残念だ。あ、ボクも言われるけどこれは更に上に行くと思うのはきっとボクだけじゃない筈。

ふと、ボクは棚の上に置いてあるデジタルの時計に目を通した。



「ダイゴさんダイゴさん、来てそうそう申し訳無いんですけどそろそろおいとま願います」

「え、何で?何か用事かい?」

「友人が来るんですよ」

「それなら僕も一緒n」

「レッドが」



瞬間にビキリと石化したチャンピオン。あれ?


ダイゴさんは以前一度だけ会わせた(いや、向こうからやって来たんだけども)レッドとバトルをしてリザードンにボコボコにされて負けてしまった(その時異常に弱かったダイゴさんが気になったが)

何となくこう言えば帰ると思ったんだ。



「…………も、もう一度」

「レッドさんが」



もう一度、ビシリと石化した。



石化する理由は何

(いらっしゃいレッド!)(……………石の奴が居なかったか)(え、何で?)(………)




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