呼応、渇きは絶えない



ゆらゆらと

たまゆらの如く。

それは揺らいでいた。

白い足を揺らしながら

それは真っ直ぐ、行き先も無く歩く。


白の世界で

歌う。

我が子を想いながら。



ゆらゆらと

たまゆらの如く。

小さな声で詩を繋ぐ。


髪を遊ばせながらただ歩く。

白い足を揺らしながら歩く。

行き先もなく。

行き先は、無い。

目的地なら、ある。



ふと前を見る。

白い足が止まった。

転がる我が子。

それが今、血に染まり崩れていた。

しばらく立ち尽くしていたが、また歩き出す。

それに向かって。



ゆらゆらと

たまゆらの如く。

白い足はかがみ込み、その血に染まるそれへと問い掛ける。



「おき て、」



小さく呟かれた言葉。



「いま、あのひとがくるから」



ゆらゆらと、

たまゆらの如く。

それは声をくゆらせる。

それは歌うように声をくゆらせる。



「だから、それまで、こえ、きい て」



「――――こっちは、まだ、きちゃ、だめ。

たどってきて。おもい、だ して」



あなたには、まだ、まもるもの、あるでしょ?



そう、声は呟いた。




呼応、夜明けは醒めない

ゆらゆらと

たまゆらの如く

揺れる白の足は浮き世向かって進んでく

行き先はどこぞ

目的地ならある

揺れる白の足は浮き世向かって進んでく

ゆらゆらと

たまゆらの如く





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