act.07 お目にかかる




「へぇー…イッシュってこうなってるんだー」



借りた部屋に荷物を起き、ポケモンセンターを出て手頃なベンチに腰掛けたボク。部屋に居てもサンダース達が居ないからつまらない。改めて一人って退屈だと思った。

しかもレッドから電話でまだ時間がかかる、と連絡を貰い渋々…軽く不貞腐れた状態で購入したタウンマップを広げた。

ここは、カラクサタウンと言うらしい。タウンと言うだけありとても小さな町だ。って事はレッドが向かった一個手前の町…は、カノコタウンか。地図から推測するとカラクサから30分…いや、一時間くらい?ああ分からないや計算無理。

考える事を直ぐに放棄したボクは相変わらず頭弱いと思う。いやしかし仕方ない。苦手なものは苦手だ。マップに記された町や道並みを眺め、それから数分もしない内にマップを閉じる。



「………つまんない」



やはり一人はつまらない。今までサンダース達が居たから、自分の周りに誰かしら居ることが当たり前に定着してるんだ。

レッドがいるからとは言え、やはりピカチュウみたいに誰かしら手持ちに加えとくんだった…と今更悔やむが仕方ない。くそう失敗した!

……イッシュにはどんなポケモンが居るのだろうか。カイリューみたいにイカツイのかそれともムウマージみたいに不気味なのかそれともメタモンやアンノーンみたいな不思議生命体か?あ、いやもっと凄いのが居るかも知れない。



「…ズルイなぁレッド」



カノコに行くにはやはりポケモンが生息する草むらを通って行くしか他にない。と言うことは、レッドは一足先にイッシュのポケモンをお目にかけている。ボクもこの近辺に居るポケモンを一目見てみたいが、生憎今ポケモンは持ち合わせていないしそれは叶わないだろう。

気分は落ちる一方。ハア、と溜め息を着くと赤い何かが視界の隅で、揺れた。



「!レッ…、……?レッド?」



じっとこちらを見やる、彼。町の外に居るのは見馴れたレッドだ。だがしかし様子がおかしい。立ち止まったきり町に入る気配はなく、しかもピカチュウを連れていない。……あれ、電話が来てから戻って来るまで、早くない?

そう思いながらもベンチから立ち上がり、町から出てレッドに近寄れば直ぐにその異変は分かった。

いや、気付いた。明らかに人間じゃ無い証拠を発見したから。それにしても何の理由があるんだか知らんが、レッドにちょっかいかけるなんて良い度胸してる。

気付いたら結構なスピードでレッドじゃない何かに突進していた。



「うらぁあああああ誰じゃワレェェエエエエ!!!」



ドカァアアアア!と飛び蹴りがその偽物さんに直撃した。

あらいけない、口調がユイ兄化していた!いや、勢いだったんだ。拒絶反応って言うか防衛本能って言うか。だから今更後悔しても遅いんだけども。



「………!!?ポ、ポケモッ…!!」



蹴ってしまった事により、パタリと気絶した見たこと無いポケモンがそこに居たんです。



ゴメンね蹴っちゃったよ

(急いでポケモンセンターに連れて行った)





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