act.38 偶然なのか、必然なのか。それとも、






「!……レッド?」



あの後、時間も時間だからとコンビニで軽く夜食を買ってポケモンセンターに戻ってきた。玄関の扉を閉めた途端、背中に軽い衝撃があり背後から腹部に手を回されホールドされた。部屋に着いた途端、レッドが後ろから抱き寄せて来たのだ。

レッドからのスキンシップは最近では少なくはない。ふとした時に抱き寄せられたり抱きしめられたり、肩や背中にのしかかって来たりなど体が触れ合うようなコミュニュケーションは彼は意外と多い。

けれどやはり唐突に行動を起こすので吃驚はする。

彼はアヤの髪に顔を埋めてしばらくそのままで動かないでいる。



「(………これは…)」



アヤが頭上に手を伸ばし埋もれた頭を両手で包んだ。男の人なのに相変わらず髪はサラサラで羨ましいとも思うが、これでいて彼は髪の手入れなど一切していないのが驚きだ。体質の問題だろうか。

そしてどうしたの、と声をかけても反応がない。

アヤを囲ったまま黙って何も喋らない時のレッドは、言いたいことがあるが言い難い時か、時々起こす体の不調(本当に滅多にない)を紛らわせる時か、はたまた本当に珍しく精神が疲弊している時。後者の2つはあまりないが、可能性として有り得る。しばらくレッドの頭部を両手で撫でても問いかけても返答は得られなかった為、アヤは諦めておずおずと、手を降ろした。

そしてポツリと、本当に小さな声で言った。



「……心配かけて、ごめんなさい」



ギュッとお腹の前で交差したレッドの腕を、両手で握りしめる。

ピク、と彼が反応したのをアヤは確認して続けた。



「急いで、来てくれたんでしょう」

「………当たり前だ」



はーーっ、と彼は深いため息を着きながら栗色の髪から顔を上げた。

レッドは両腕を解き、アヤを背後からグイグイ押して玄関を通り抜け、その先の簡易ソファに乱暴に腰掛けるとアヤ諸共沈んだ。これまた背後から腹部に両腕を巻き付けられて背中全体がレッドに密着する。体制的にアヤが押し潰しているような格好になった。



「(今回は偶然何も無かったものの…こいつのトラブルに巻き込まれる体質はどうにかしないとな……)」



思えば、アヤが意図しても意図しなくても結果的に生命の危機に陥った事が幾つあっただろうか。


初めて会った時からしばらくして、長かった髪がバッサリ切られた時。これは当たり所が悪ければ首が飛んでいたかもしれない。

一時悪霊になりかけた霊に取り憑かれた時もあったという。これは俄に信じ難かったがアヤの意志とは関係なく動き、悪霊となる一歩手前で洋館へと誘導されたとか。もしそれが目的地へと辿り着く前に悪霊へと成っていたら、憑かれていたアヤは一体どうなっていた。

マンドラゴラという人面植物の中に放り込まれたアヤは偶然周りの助けもあって事なきを得たが、何も助けがなければ呆気なく喰い散らかされていたかも知れない。

1年振りに再会した時、遥か上空から地上を見た時。アヤが地面に頭ごと躊躇なく打ち付けられているのを見て、目の前が真っ赤に染まったのを覚えている。
もし、打ち所が悪ければどうなっていたのか分からない。

古代の城が崩れたタイミングとアヤが立っていた場所が少しでもズレていたら、瓦礫に潰されて死んでいたかもしれない。

ピカチュウがいなければあの巨体達や実験体のポケモンに周囲のトレーナー諸共、なぶり殺しにされていたかも知れない。



「(…………なんだ…?)」



本当に偶然なのか疑わしい程の確率だった。

この数年とここ最近でこんなに命の危機に晒されることがあるものなのだろうか。

寧ろレッドと出会う前もこんな、生死を左右する可能性の出来事がなかったと言いきれない。過去の事だろうがもしも自分の知らない所で“死の可能性”がアヤの今までの人生に直面していたのだとしたら。

今まで運良く生を歩いて来れたが、もしもの可能性を考える。

これじゃあ、本当に命が幾つあっても足りない。

本当なら出会う事もなかったのかも知れないなんて、そう馬鹿なことを考えてしまった自分の背中が急激に冷たくなった。

そもそもの話だ。



「(こいつ、なんでシロガネ山を登ったんだ)」



確か、植物採集だと言っていた。比較的に珍しい極寒の地の高所に生息し、その頃のアヤの近辺ではシロガネ山しか咲いていなかったとか。他地方ではガラル地方の冠の雪原にあるとかないとか。

仮にもあの広大で過酷な自然環境下であるシロガネ山の、しかも超高所で。
レッドもなにもあの6年間、24時間ずっとシロガネ山の山頂だけに居たわけでは無い。時々麓の方まで降りて食料となる木の実を採ったり、川で魚を取ったりもした。殆どの生活圏内はシロガネ山の山頂付近にある洞窟内だが、太陽が出ている内は野生のポケモンと戦い経験を積むために山中をほぼ毎日のように探索しており、自分を探そうとて簡単に見つかるものではない。天候も崩れやすく殆ど吹雪で前が見えない時もある。それに自分がシロガネ山にいる、なんて噂が流れたとて山頂に行ってもたまたま会える確率もおそろしく低かった。砂漠に米粒落として見つけるようなものだ。


人一人見つけるのも困難であろう場所で二人の人間が偶然接触する?



これも、偶然なのだろうか。



「……………」

「……レッド?…あの、ちょっと?レッ……」



頭が痛い。

背中が冷えたまま、有りもしない、もしかしたら有り得るかも知れない可能性を考えた。

ただの偶然なのか、考えすぎなのか。

それともこれも数ある運命の一つとかいうものなのだろうか。

まだ、平気だ。
けれども、いつか、いつの日か、何かの拍子に零れ落ちてしまったら。

自分が傍にいる時は何が何でも傷一つ付けない自信がある。

けれど自分の知らない所で取り返しのつかないことが起こってしまったら。

そう思ったら、指先が震えた。



「!……アヤ、」



無意識に腕に力を込めてしまっていたらしい。アヤは無理くり腕の拘束を抜け出してレッドと向かい合わせになった。苦しかったのだろうか、とも考えたがそうではないらしく、アヤはレッドの顔を覗き込んだ。とても不安気な顔で。
すまん、と思わず名前を呼ぼうとしたが、その前に少し吃驚して口を噤んでしまった。遮るように彼女はレッドの頭に手を回して、抱きしめた。大切そうに、労わるように抱きしめられた。そんな抱擁を彼女から今までされたことがなかったものだから一段と驚いてしまった。すると少し震えてるよ、どうしたの。どこか痛いの。とっても心配。そう小さく問われたのだ。

彼は、心配されることなんてほぼない。隙もなく弱さがない。

強すぎるからだ。

自分の遺伝子ばかり心配する両親とその家の奴らを抜きとして、己を本当に心配なぞする物好きな人間は…口煩い幼馴染達くらいだが。
それでも幼馴染以外で好奇な目で見ず、特別扱いせず、一人の人間として自分の体調を気遣い下心もなくただ純粋に心配して接してくれる存在は、アヤが初めてだった。自分に何でもなく笑いかけてくれる、彼女の笑顔が印象的で好意を持てた。感情表現豊かで、素直な感受性を持つ自分が待ってない物を持っている彼女が少し羨ましい。
ポケモン達とは家族のような友達のような他人のような謎の関係性を育める絆もある。

そして少し…いや、だいぶ偏った見方になるが随分と不思議な人間性をしている。これが個性と言うものなのか。

彼が強烈な興味と好意を抱くのは無理もなかった。

今まで見たことない人間性の持ち主だったのだから。

だから初めて他人を好きになったのだ。



「……ーーー、」



アヤが耳元でひたすら「どこか痛いの、大丈夫なの」と心配し自分の名前を連呼して頭を抱き撫でられ続けている。普段アヤからはこんな風に抱きしめられた事は多分だが数える程しかない。恥ずかしいのか過接触なスキンシップはただ取り辛いのかはわからないが。滅多にないアヤからの抱擁は勿論、手汗が滲む程に嬉しい訳で。

はっきり言おう。至福だった。ご褒美なんじゃないのか。

細い腰に手を回して抱き締めれば、ふぅ、と一息着くと一緒に不思議と頭痛が和らいだ。そしてそのタイミングでこれまたいつもしないことを彼女は行動し始める。そのままレッドを押し倒して一緒にソファに横倒れになったのだ。
また少し吃驚したが珍しい行動を続けてとるものだから内心ワクワクしながら次は一体何をしてくれるのだろう、と心配してくれている相手に対してまあ不謹慎な事を思ってしまう。体調はぶっちゃけもうどこも悪くは無いがしばらくこのままでいたい。



「寝れば、治るかな…」



おい待て、寝るつもりなのかお前。

まあ確かに、時間も時間だしな…、と考える。今日は色々あり過ぎたおかげで夕飯も食べ損ねた。だから今帰ってくる間際にコンビニで軽食を買っては来たが、不思議と空腹感はなかった。入浴は済ませてないから今日は風呂だけ入って眠るか……と考えたところで、ふと、思った。



「何か言いたい事はないのか」

「え?」

「…怒ってないのか」

「え?何が?」



これは聞きたかった事だ。

なんたって今回、ゾロアがここに居られなくなった理由はほぼ自分が大きく絡んでいると言ってもいい。ゾロア自身にも問題がありありだが、警戒して威圧しすぎたせいでゾロア自身から助けを乞えなかった。
確かにピカチュウからの殺気なんて凶器に等しいし、自分の本気の殺気なんてシロガネ山の大型ポケモンが怯むくらいには強烈なものだと自負している。

因みに過去に危険を省みないアヤに対し「いい加減にしろお前、」と軽くキレて怒ってしまった時があったが、軽い怒気に当てられて気付けば怖すぎて腰を抜かして泣かした事もあるくらいだ。小さな声で「……ごめ"んなさぁ"ぁい"…っ…」と謝ってくる姿は心底反省したらしくもう二度としない、と約束してくれたのは良かったがそれにしてもあの時のアヤの泣き顔は予想以上に最高に可愛くてもう困った。

これまで一度もレッドから怒られた事がないアヤの衝撃は凄まじく、借りてきた猫みたいに背筋を丸くして蒼い目をいつもより丸くしてボロボロ泣いてる顔はそりゃもう可愛いの権化。愛しさと切なさで爆発しそうでどうにかなってしまいそうだった。

飴と鞭の使いようで、怒っていたことすら忘れそうだったがもう怒ってない事を伝え、慰めるように頭を撫でたが如何せん可愛すぎて少しニヤついてしまった。
すると「もう"しない"から"ぁ"ぁ…」嫌いにならないで、愛想つかさないで、もう好きじゃない?嫌"あ"あぁ"ぁぁ……などなど。そう言って縋るように抱きついて来たアヤに軽く興奮しつつ抱き締める。自分の好みのドンピシャだった。
そして興奮して昂っている自分を隅にこの趣味趣向はダメだと冷静に判断する自分もいる。

可愛いくて尊いとはこういう事を言うのだ。だがしかし安心して欲しい。アヤにはドス黒い好意と濃密な愛と激重感情と濃厚な情欲しかない。これから先、きっと嫌いになることはないだろう。それは何故だかわからないが確信できる。



「(……………あの時は可愛かったな…)」



あの後ギャン泣きして愛想を尽かされたくない一心で正常な判断をしばらくなくしたアヤは、ここぞとばかりにレッドの「お願い」をいくつも叶えているのだった。それは今までアヤからあまりされた事のないスキンシップを充分に堪能できる時間となり、抱き着かれ縋りつかれキスされ頬擦りされ好きだの嫌わないでだの。そんな事を小一時間アヤに言わせて、させたレッドは大変ご満悦だった。

あの時のアヤの顔を写真に収めたかった。今ではもう記憶の中に大切にしまってあり大切な夜のオトモをさせて貰っている。


………話がだいぶ逸れてしまったが、自分の殺気はそれ程までに他者には猛毒に近いものらしいということ。

ゾロアが言い出せなかったのは当たり前で、そこに配慮出来なかったレッドの読みが甘かったのも原因であると彼は考えた。



「俺が話を聞けてやれば、そもそも違ってたかも知れないだろう」

「んー…」



自分がしたことは悪いとは思っていないが、アヤは勿論違うかもしれない。アヤはきっとゾロアの行いを許す事が出来て、このまま手持ちとして旅を続けたいとも思っていたかも知れないが到底レッドにはそれを許す事ができず、これ以上彼女の近くに置いておくなんて選択肢はなかった。

なるべく危険は遠ざけて、不要な障害は捨てておきたかったからだ。

いや、半ば強制的に出て行くように言葉で威圧した。殺すつもりだったのだろう、お前のせいで死んでたかも、なんて。我ながらなかなかの酷い言葉だ。たぶんそんな気は一切持っていないだろうことは分かってはいたが、自分の行いのせいで周りに重大な被害が出るなんてザラだ。離れて行かざるを得ない程の罪悪感と自分への浅ましさ、愚かな判断だったと。それしか、与えなかった。

だが一応ゾロアはアヤの手持ちであり、どうするのかはボール所有者のアヤが決めなくてはならならなかったこと。けれど彼女の意見そっちのけにしてほぼ強制的に追い出してしまったこと。

トレーナーなら激怒してもいい話だ。さすがにアヤも怒るだろうと、口にしなくても思うことはあるだろうと思っていた。



「怒ってないよ。……怒れるはずないじゃん」



レッドが警戒してた理由も、ゾロアに怒った理由も先程レッドが怒りと説教紛いの事をゾロアに向けていたから勿論、知っている。

全てアヤの為にしてくれていた事。

自分の為に怒ってくれて、心配してくれていたのにそんな頭ごなしに不満なんてぶつけられるはずがなかった。しかもその心配された矢先にアヤの生死に関わるような所に連れて行かれて、本当に彼が言った通り、一歩間違えれば死んでたかもし知れない。

だから感謝はあれど不満なんて持ってない。



「けど、」



けれど、強いて言うなら。



「ボク、ゾロアに全く信用されてなかったんだなぁって」

「……」

「あの子にとって都合がいい人間だったってことはもう理解してるよ。でも、一度は手持ちに加えた子に“相談しても無理かもしれない”って。最初から諦めてるほど、信頼の欠片もなかった。…トレーナーとして、コーディネーターとして、それはどうなんだろうって」



結局、ゾロアの心の内は知れたが、根本的なものはアヤはゾロアから得られていなかった。本当に何もゾロアから聞けていなかったし、彼も本心を明かそうなんて、最後まで思わなかった。

別れの際に最後に表した姿も、きっとあれが本当の姿なのだろう。



「それにね。ライモンシティに向かう途中にさ、ライドしてる時から様子が多少おかしかったのに気付いてたの」

「…そうか」



ライド中、古代の城を静かに眺めていたゾロアを思い出す。



「でも、ボク。バカだからさ。大丈夫だろうって決めつけて、なんにもしなかった。レッドもいたのに聞いて欲しいって頼むことすらしなかった」

「俺もあえて何もしなかったけどな」

「でもゾロアはボクのポケモンだったし。本当ならボクがしなきゃならない事だったのにさ」



はー…とアヤがレッドの頭を抱えたまま深く項垂れた。

まあ自分のコーディネーターとしての矜恃がだいぶ傷ついたのだろう事はわかった。



「っ!うわぁっ!?ビックリしたー!!」



二人してソファに倒れた体をアヤの膝と臀部に腕を回して抱えて起こし、レッドは勢い良く立ち上がる。レッドが抱えた腕の上にアヤが座っている状態だ。なかなか高い。

勢いが良かったせいで怖かったのか、ぐらつく体をレッドの頭にしがみつくことで何とか耐えた。



「とりあえず今日はもう遅い。そろそろ寝ろ」

「え、レッドもう平気なの?どっか痛かったんじゃないの?」

「お前のおかげでもう治った」

「ボク何もしてないよね……っていうか本当にどっか痛かったんだね!?ちゃんと言ってよ!?」

「…軽い頭痛だ」

「頭痛?…最近多いね。え、本当に大丈夫なの?」

「ストレスかもな」

「スッ…ストレス!?レッドが!?ストレス!?…ストレス!?」

「お前は俺を何だと思ってるんだ…」



ベッドに一直線に移動した彼はゆっくりとアヤを下ろす。

もう寝ろと肩を押し、シーツに沈んだアヤはハタ、と思い出すように言った。「ごめん、寝る前に今日は絶対お風呂入りたいデス…走って汗もかいたし、砂も被ったし」と。アヤはいそいそと起き上がり新しい寝巻きとタオルなどを用意している。
まあ、確かに。城が崩落した勢いで舞った砂埃は全身に直撃していることだろう。さすがに入らないと衛生的に宜しくないな…とレッドが思ったところで、浴室へと向かおうとしたアヤが振り向いて言った。



「今日、急いで来てくれて、助けてくれてありがとう」

「……?当たり前だろ」



何をそんな当たり前な事を。

理由?そんなの大切だからに決まっている。

ニカーっと笑ったアヤは「入ってくるー」とレッドに声をかけ、これまた彼も「ちゃんとお湯張れよ。しっかり温まって来い」とヒラヒラと手を振り返した。宛らお母さんのようだが彼はお母さんでも何でもなく未来の旦那(の予定)である。

様子をずっと見守っていたピカチュウとアシマリは(ジヘッドは既に就寝している)お互いに顔を見合わせてのそのそとそれぞれ動き出した。
ピカチュウはレッドの元へ、アシマリはアヤの後を追いかけていく。

「飯はいらないのか?」と彼の問に対し、ソファに座ったピカチュウは『あんまり空いてないからいいや』と返す。それよりも、と。ピカチュウはあの子どうするの、と目で主人へと訴えた。見る限りゾロアより怪しすぎる。また今回のような事があってはたまったもんじゃない……が。



「…………」



何となくだが、アシマリがアヤに何かをする……とは何故だかレッドには思えなかった。

理由も何もないただのカンだった。



「少し様子を見る」

「……ピ……」

「…お前な、その顔ヤメロ」



ピカチュウは「はぁ?バカなの?正気?」と言わんばかりの顔をした。自分の主人はこんなにアホだったっけ?と非常に腹立たしい顔である。

寧ろ、アヤにとって居てくれた方が非常に有難いような、そんな感覚だった。アシマリのアヤを見る目は自分と似たような、ピカチュウがレッドを見るような大切な人へと向ける目に似ていたから。寧ろそれらとはまた違う感情を感じた。



「まあ、危険だと思ったら剥がす」


ふむ、まあそれなら。とピカチュウはレッドに背を向け、ソファの真ん中を陣取り寝る準備を始めるのであった。

レッドもアヤが風呂から上がったら自分もさっさと入浴を済ませてしまおう。何せ明日は“やること”が沢山あるのだから。






偶然なのか必然なのか、それとも

(出会うべくして仕組まれたのか、それが彼女の、)






呪い なのだ。





真っ白 に吹き 荒 れる吹 雪が見 え る。

見え る。

見 え、る。





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