act.106 除去




※注意喚起。
直接的な性的描写はありませんがちょっと生々しい表現があります。

それらの不快不安な方はブラウザバック推奨。













「………アヤ?」



隣で熟睡したアヤの顔を見て。



「……眠ったか」



何度か頬をつついた。何も反応はない。よし。と心の中で呟いてレッドはむくりと起き上がった。チュリネの薬は、かなり即効性があるらしい。あの時チュリネに渡された薬は三つだ。痛み止めと、睡眠薬と、そして麻痺軟膏。薬を飲んでから30分もしない内に眠ってしまったのはそれが薬の効力なのか、元々体が疲れていたのか、それとも張り詰めた精神が途切れてしまったのかわからないが。

まあどっちにしても都合が良い。

睡眠薬は元々“開発”の為にチュリネに頼んで薬を作ってもらっていたが、その効果は“多少の刺激”では起きない程度の効果に留めて調合をしてもらった。しかし今回の腟内に捩じ込まれたタンポンを引き抜くには激痛で、きっと薬を飲んでいても途中で起きてしまうだろう。

その為に、この麻痺する薬を頼んだのだが。

果たしてその効果はいかなるものか。



「…………」



アヤに掛けたタオルケットを足元から腹まで捲りあげ、そしてアヤの寝巻きのワンピースの裾も捲り上げる。本人はまさか自分が眠っている時にタンポンを抜き取られるなんて思ってもいないだろうが、まあ顔面蒼白になって冷や汗が出る程の苦痛を感じないなら、その方が良いだろう。

側臥位が一番体勢が楽なのだろうか。ならそのまま取るにこしたことはない。
クロッチ部分をずらすと、秘部にはそこから紐が伸びており腟内にはずっぷりとタンポンが入り込んでいる。レッドは腟口に指を添わせるが、もうそこはギチギチで。



「(これは……膣壁に、軟膏を塗れるのか…?)」



一番痛みを感じる部分に薬を塗れないと意味が無い。それは麻酔をかける時の注射も然り。痛む部分にきちんと投薬しないと麻酔の意味が無いのだ。

とりあえず様子を見ながらやっていくしかない。

小瓶のキャップを外し、薄く色の付いた軟膏を手に取る。それをまず膣口にたっぷり塗って時間を置く。すると、



「…………!」



自分の指が、鈍く感覚が無くなってきた。試しに爪を立ててみるが何も痛みを感じない。

これ程まで即効性があるのか、と驚く。これはアヤの中からタンポンを抜き取る頃には自分の指の感覚も一緒に無くなりそうだ、と苦笑いしながら。でもこれなら少しずつ塗り進めれば何とかなりそうだ。
軟膏を更に指に取って膣口を開くように膣壁に塗りつける。普段から試していた痛みがあってこれ以上進めない箇所も押し進んでいく。タンポンでギチギチになってはいるが、繰り返し繰り返し少しづつ開いて、軟膏を塗って少し開いて塗って、を繰り返す。じわ、じわ、と月経の血液も滲み、レッドの指が血に染る。

眠っているアヤの顔を確認するが、少しづつ、苦痛の表情が出てきていた。時折呻く声も聞こえ出した。起きるなよ。そう思いながら、レッドの中指1本が全て腟内にタンポンと一緒に入った頃、そこには2本分の異物が腟内をギチギチに締め上げていた。



「…………っ」



かなりの圧迫感だった。

軟膏を塗って痛覚を軽減しているにも関わらず、こりゃ痛いはずだ。

痛みも僅かに感じるのか、下腹部の痛覚に抵抗しようとして腹圧や膣圧もかけているらしい。ギチギチで簡単に指が動かない。しかし大人しくしている訳にもいかないのでどうにか時間をかけてタンポンの周りをぐるっと一周。薬を塗りつける。指先に付いた軟膏を膣奥に置し込めて、少しづつ引き抜く。



「(………凄いな。今なら指一本切断しても分からないんじゃないか)」



引き抜いた中指の感覚は殆ど無くなっていた。

効果時間は長くは無いはずだが、あまりにも感覚が戻らなければまたチュリネに相談しよう、そうレッドは思って。中指に付着した軟膏と血液をティッシュで拭き取り、アヤの顔を見ると冷や汗でじっとり汗をかいていた。
時折ぴく、ぴくと頬が引きつっている。

そこから更に時間を置いて、紐を摘む。



「……っ、………、……っ…」



ず、ず、ず、

とタンポンを少しづつ引き抜く。

軟膏の効果は高いはずだ。指の届く範囲で腟内全てに塗りこんだからもう痛みは殆どないはずだが、それでもアヤの表情は固い。ぐち、ぐち、と血液の粘着質な音を最後に僅かに血を吸ったタンポンはやっと体外に除去された。

抜き取られた膣から今まで塞き止められていた血液がゴポ、ごぽ、と流れ始めた。血の独特な匂いが鼻に着く。



「………」



抜き取ったソレを見て、レッドは不快そうに眉を寄せた。
少量でも血液を吸ったそれは肥大化しており、レッドの指1本以上の太さがある。こんなものが僅かとはいえアヤの中に居座っていたなんてとんでもなかった。

レッドはそのタンポンをティッシュに雑に包み黒いビニールに入れ、ゴミ箱に投げ入れる。そして普通の生理用ナプキンを開封してアヤのクロッチ部分に貼り付けて下着も衣類も元に戻した。ウエットティッシュで汚した手も適当に拭き取ってそれもゴミ箱へ。
未だ眠るアヤは汗はかいているが、先程とはうって変わり穏やかな表情に戻っている。

一連の動作を終えて、彼女のその顔を見て。やっと一息着く。



「(なんて濃い一日だ……)」

はー、と溜息を着いて。

レッドはやっと眠ることが出来たのだった。





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朝、何かの動く気配を感じてレッドが目が覚ますと隣に見知った姿が無いことに気付いた。……というのは嘘で、目当ての人物はベッドの縁にちょこんと座っていた。先に目を覚ましていたアヤはしかしまた何故か顔を青くしているのだが。



「おい、どうした」



また何かしたのか?

もしかして再度タンポンねじ込んだんじゃないだろうな。あれだけ苦労して抜いたのにまた捩じ込んだ訳じゃあるまいな。ふと、レッドは自分の指を見る。昨日軟膏により消えた指の感覚はだいぶ戻ってきていて。効果もさることながら副作用もなく素晴らしい。

関心すると同時にアヤを見て少し不安に思ってしまった。

ちょっと、いやだいぶまた不安に思ってレッドはアヤの肩に手を置くと置いた肩がびっくりしたのか跳ねた。



「あっ、レッ……!お、おはよ……。いや、そうじゃなくて、あれ……?」

「おはよう。…?なんだ、まだどこか痛いのか」



タンポンは昨日除去した。軟膏の効果は切れているかもしれないが、痛み止めはまだ効いているはずだ。だから生理特有の痛みは恐らくないはず…だけれど女の身体は複雑だし。まだ何かあるのかもしれない。

レッドは不審に思いながらアヤの返事を待つ。



「昨日みたいな痛みはもう全然…でもちょっと、なんか……?」

「?」

「ちょっとだけ、違和感が……」

「違和感?痛いのか」



アヤは訝しげに首を傾げ、モゾモゾと内腿を擦らせた。



「んーん。そんなに痛くないんだけど、ちょっとヒリヒリするっていうか…。………あ、れ?ヒリヒリするくらいで寧ろすこぶる体調良くて。どこも痛くないし生理中なのにおかし……あ、違くて!そもそもボク、自分で入れたのに………あれ?だって昨日まで…」



アヤは思った。

痛くない。全く痛くない。というかタンポン入ってる感覚がない。

あれ?もしかして痛みに慣れたのだろうか、と。

タンポン入れてから一晩経ったから、寝ている間に膣肉が解れて広がったのでは……。だとしたら昨日の苦労も甲斐があったのでは。もしかしたら、そうかもしれない。アヤは内心喜んでいたがその束の間。レッドは無常に告げた。


「ああ、アレか。抜いといた」

「ぬい……抜いたッッ!!!!???」

「……朝から元気だな」



元気で何よりだ。そう言ったレッドの両肩をガッチリ掴んだアヤは冷や汗いっぱいにレッドに詰め寄る。



「えっボクが寝てる間に取ったってこと……!!?」

「昨日薬飲んだだろう。あれ、チュリネ産の薬な」

「チュリネ産」

「後で礼を言っとけよ。チュリネが薬を出してくれなかったら、激痛のまま無理に抜いてるところだったぞ。痛くはなかったろ」

「………!」

「お前まさか今痛くないのは一晩経って慣れたとか思ってるんじゃないだろうな。慣れるわけないだろ。少し痛みが残ってるのは無理にタンポン抜いたから膣肉が傷ついてるからだ」



アヤはいろんな情緒が死にかけていた。

チュリネ産ならぬ、チュリネの体の一部を使って作られた薬を自分の知らないところで作らせてしまった事実と、そして自分が寝ている内にあんなに痛くて仕方なかったタンポンを簡単に抜き取った彼。昨日、自分の痛がる様子を見て何とかしてくれたんだ。そうだ。そうだった。あんな痛いのがちょっとやそっとで慣れるワケない。

だって「ちょっと待ってろ」って言ってから薬を持って戻ってきたのは彼だ。



「(し、敷いてある…)」



あっと思ったアヤは自分の下着に手を伸ばした。そしてそこには生理用ナプキンまで敷いてある。いつのまに。っていうかそんなの、抜いた痛みなんて知らない。だって爆睡してたもん。



「あ、」

「?」

「ありが…と…う……」

「どういたしまして」



いろんなものが磨り減った気がした。

自分の情緒とか、プライドとか、羞恥心とか、そういうの。

っていうかこれはもう下の世話?ボク、こんな若いうちに、こんなイケメンに下の世話までさせて……。人間は他人に自分が排出した汚物の下の世話か上の世話(嘔吐物など)をさせたらもう終わりである。ど、どうしよう。ボクもう、まともに生きていけない……っ。




「あ……あぅ……うぁぁぁぁんっ」

「は、」

「うあーーーーんチュリネェェェボクもうお嫁にいけないぃぃぃっ」

「いや嫁には確実に行けるだろ。俺に嫁入りするんだろうが」

「あっそうだった……じゃなくて!だって自分の汚物を処理させるなんて今まで思ってもなかったんだもんッッ」

「俺は別に気にしてないぞ」

「ボクが気にするの……!!」



恥ずかしくて、不甲斐なくてめっちゃ泣いた。

18歳の夏。

自分の汚物の処理をイケメンにさせてしまった事に吐きそうになった。






除去




寝室の扉を壊す勢いで出てきたアヤは日向で寝ているチュリネに勢いよく飛び付いた。そんなアヤを見てオシャマリもピカチュウもサザンドラも皆一様に「良かったぁ」と一安心して。「元気になって良かったわ」そうオシャマリは思って。

『きゃっっーーー!!!??』

と悲鳴を上げたチュリネの声が寝室まで聞こえたレッドは、ゆらりと立ち上がった。

そしてチュリネを抱き締めながらお礼と懺悔を繰り返すアヤの背中を叩き、その細い肩を掴む。

アヤの昨日とはうって変わり元気そうな顔を見て「ああ、アヤちゃん。良かった、元気になって」そうチュリネは思ったけれど。ふと、アヤの背後に出来た人影をチュリネは見て、その表情を見て、チュリネはビビって声なく固まった。新しく生えた頭の葉っぱが逆だったほど。



「アヤ、“ソレ”が終わったら試したいことがある。頑張れるな?」



どろ、どろ、と赤く、熱に溶けたような恐ろしい目つきだった。…と、後にチュリネは語っている。

そしてその目に容赦なく縫い付けられたアヤも勿論ビビって固まって。アヤはチュリネをギュッと抱きしめて唾液を飲み込む音と共に小さく頷いたのだった。









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