act.96 その後の楽しみ
自分の鋼の理性を信じることにしたレッドは、早速行動を起こすことにした。
「触らせろ」
「随分……率直でストレートな…欲求に忠実な……」
「……暫く触れてなかっただろ。そんなことする暇も最近はなかったからな」
七夕祭りから帰宅して太陽もとっくに沈み、夕飯も済み深夜になった頃。
ふう、と一呼吸着いたレッドは浴衣のまま寝室の椅子にドカりと座った。
全く。本当に動き難いったらありゃしない。やはり自分は和服より半袖短パンなどの動きやすい軽装が過ごしやすくて好きだ。とっとと脱いでしまおうと着替えようとすると、何故かアヤが残念そうにするものだから手が止まった。
まあ今日はもうどこにも行かないしやる事は終わったし………否、ヤることはあるが。急いで着替えなくても良いか、くらいに思い着替える機会もなくなってしまった。
意外にも、アヤは自分の浴衣姿がお気に召したらしい。それに自分自身も着付けされて満足そうな顔をしていたし、もしかしたら和装に興味があるのかもしれない。「着替えないのか?」と聞くと「せっかく気つけてくれたからもう少しこのままでいいや」と。着付けされて完成された形を崩したくないようだ。
「ちょうどいいか」
「?」
「アヤ」
「なあに?」
「触らせろ」
元々自分が着せた浴衣を剥く予定だった。
アヤが着替える頃を見計らって手をつける予定だったが。
突然のレッドからのお願いに当然アヤは固まった。
…暫く、そういう意味でアヤには触れていない。お互い触れる暇がなかった。それは本当だ。この1ヶ月近く、アヤの体調不良が続きそんなことは二の次だったからだ。そしてレッドはといえば熱を出したアヤの看病に明け暮れていたし、それ以降もリーグへの迷いの森で起こった調査結果を纏めて資料に起こし、報告書として仕上げていた事もあり忙しかった。そしてその返信など、詳しい電話での状況説明もしたりしていた。
お互い一緒にはいるが、少し忙しかったのは本当だ。
とりあえず、触りまくってくっついて癒しを補充したい。
「アヤ、」
「う…」
こっち来なさい、とレッドは己の膝を叩いた。
寝室には勿論ポケモン達は居ない。全匹寝室外に居て、オシャマリは何も言わずとももう防音もバッチリである。他のポケモン達も我関せず……否、夜はレッドとアヤに関わってはいけない、と思っているのか基本ノータッチだ。優秀すぎてさすがのレッドも内心拍手を送ってやった程である。(最近入ってきたチュリネはあまり理解していないようだったが)
「アヤ、」
「ぁ…で、でもちょっとまっ…」
「いいから来い」
あれからレッドに触られる時間が空いてしまったからか、少し躊躇気味にアヤはオロオロしていた。素直に寄ってくればいいものを、と思いながらレッドは再び「来なさい」と手招きするとやっとアヤは少しずつ近寄ってきた。
レッドのテリトリー内に入るとアヤの手を掴み腰を引き寄せ抱きしめる。
そして吸った。
「(はっーーー……生き返る……)」
肺いっぱいにアヤの匂いを吸い込み、暫くじっとそのままの姿勢でレッドは動かなくなった。アヤもそろそろと彼の背に腕を回しながら背中を撫で、動かなくなったレッドに「お疲れなのかなぁ」と些か見当違いな事を思いながらお互いゆったりと過ごしていたが。
まあそれだけで終わるはずがなく。
「………っ」
アヤの首に顔を埋めたレッドは、そのまま浴衣の襟足に露出された首筋を舌で這った
腰を撫でて、肩甲骨をなぞって。早速浴衣の襟を開き、そこから侵入したレッドの手はブラのホックを邪魔だと言わんばかりに簡単に弾いた。少しずつ、レッド自ら着付けた浴衣が崩されていく。ゾワゾワ、アヤの背中が震える。久しぶりで、少しの怖さと、期待込めてアヤは目を閉じた。
「少し頑張ろうな、アヤ」
その後の楽しみ
こちとら朝からずっと楽しみにしていたのだ。