こうして男は骨抜きにされていく





「待てやゴラァアアアアアアアアッッッ!!」

「ええええええ!!?ちょっ何でぇえええええ!?何でそんなに怒ってるんですかぁあああああ!」

「てんめぇえええこの俺にキムチなんぞ動物の餌よこしやがってぇええ!!よっぽど死にてェらしいなクソがッ!!」

「ええ!?ユイさん辛いの駄目なの!?し、知らなかったとは言え自分の嫌いな物にそこまでいちゃもん付けるなんて横暴!」

「それだけじゃねぇ!何持ってきたかと思えば土産物と称されて中に入ってるゴミはチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとかチーズとか………ほとんどチーズじゃねぇかァアアアア!!!」

「ユイさんチーズ駄目なんですか!嫌いなんですか!奇遇ですね私もです!」

「チーズが嫌いな訳じゃねぇがチーズばっかじゃねぇか!逆に気持ち悪ィんだよ見ただけでしょっぱいんだよンないらねェんだよッ!!」

「だってレンが好きなんです!チーズ!私嫌いだけど」

「知るかッ!!あいつの好き嫌いなんぞどうでもいいんだよ!っつーかこのドレスなんだ!!明らかな嫌がらせだろテメェ!着ねぇよ俺らの誰が着るってんだユウヤか!?ユウヤなのか!?」

「………わかった!ユイさん、ドレスについて怒ってるんですね。いや聞いてください!今度ハロウィンの男性人による女装仮装パーティーがあるんですよ〜それで是非ユイさんにも、」

着ねぇッつってんだろ!!そもそも男がおいそれ着れると思ってんのか!」

「おいユイ、着てやれよ。ミリの頼みだしな。あの聖燐の舞姫に頼まれ事なんて滅多にないんだぜ?」

「聖燐だが舞姫だかの頼みがどうした。女物の服を着る事自体男としてのプライドに関わってくるんだぞ。その時点で男一回捨てる事になるんだぞテメェわかってんのかレンガルス」

「………………」

「………………」

「………おい、まさかオメェ」

「……ミリの頼み、だからな。考えてみろ、愛しい女から上目遣いでおねだりされてみろ。最高だぞ。それに断った瞬間に笑顔が綺麗さっぱり消えるし、そんなん見たら絶対断れる自信がねぇ…」

「レン…!」

「ミリ…」

「(ビキッ)他所でやれ恥さらし共がぁあああああッッ!!!」



こうして世の男共が女に骨抜きにされていく事を、ユイは改めて知ったのであった。



**十五夜**




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