危険な出会いかた
「…………………………………………ちょっと、いきなり何するんですか!」
「………てめぇ、人間か?」
「何がです?」
「ありえねぇ」
「えー…ありえねぇって言われても。現に止めちゃったし…あ、そうだよそうだよ。白亜ちゃんが念力でビビビッと私に危機を教えてくれたんですよそうに違いない!ねぇ白亜ちゃーん今の見てた?見てたよね?…って、あれ。白亜ちゃーん?白亜ちゃんどこー?お姉さん泣いちゃうよー?白亜ちゃーん!!」
「ナメてんのかその手首へし折るぞ」
「ごめんなさいオニイサン」
「…ったく緊張感の欠片もねぇ。女で俺の拳、何の構えもなく止める奴ァ初めて見た。そこらの野郎も止めるどころか力負けして吹っ飛ぶのによ」
「…と言われてましても。だってそもそも、貴方大分手加減してたじゃないですか」
「にしても女一人吹っ飛ぶくらいの力は込めてんだがな」
「んー」
「(……おいおい、どういうこったこれ一体。ピクリともしねぇじゃねえか。まずありえねぇ)本当に人間かよてめぇ」
「勿論ですよ人間ですよ!」
「それとも女の皮被った野郎なのかィ」
「あはーそう見えますか?お兄さん、私の顔良く見て!私立派な女の子ですよ!」
「……オイ馬鹿女、俺は女が超が付くくらいに大嫌いなんだよ顔近付けんな」
「あ、嫌いなんですか?ホレホレ喰r」
「小指から一本ずつへし折るぞ」
「ごめんなさいオニイサン」
「…さっさと帰れ、じゃねぇと女と言えども野郎と同じ扱いすんぜ。ってか何でこんな所に女が居るのかわかんねぇよ…外の連中はどうした」
「え?…ああ!あのカラフル頭のお兄さん達ですか?大丈夫、寝てますよ」
「……どうやら本当にバケモンらしいな。こいつァ見逃しちゃおけねぇや。てめぇ、どっかの族の女だろ?どこの女だ?」
「え、ちょ、落ち着いてお兄さん」
「まさか女一人、偵察ネズミ送ってくるたぁよっぽどビビりな肝っ玉の小せぇ男だろうよ…チッ、情けねぇ」
「ちょっ…まっ、ギャアアアアッ!!危ない!!危ないよお兄さん!!わ…分かりました!分かりましたから!白亜ちゃんも見付かったし帰りますぅうう!!」
「……、…おい女ァ、てめぇ本当に人間じゃねぇよ。中身見せろ」
「あっ…あぶっ…!!人間も何も人間で、」
「普通の人間だったら空は飛べんしその後ろの明らかに危ねぇ赤い空間出せはしねぇよ」
「…………あは!」
「笑ってごまかしても、」
「迷惑かけてごめんなさいお兄さん。白亜…イーブイが逃げちゃってですね。でも無事捕まえたんで帰りまーす!」
「ま、」
「さよならーユイさん」
「……………本当にバケモンかよ。……聖蝶姫みたいな顔しやがって、パクリか」
ってかあのバケモン女、何で俺の名知ってんだ。
それが、出会いでした。
**十五夜**