身内はいますか?



【身内はいますか?】


「…………」

「…………」

「………え、何ですかレンさんにゴウキさん。さっきからボクの事見ている様な、見ていない様なそんなチクチク刺さる視線を感じるのはボクの気のせいでしょうか…!?」

「………いや、すまない不快な思いをさせてしまった事は謝る、が…」

「似ている、な…マジで」

「あぁ…気のせいにしては、奴の面影が頭から離れん」

「え。何ですか二人共…そんな意味深な素振り。え、何ですかボク何かしちゃったりした…!?」

「……………なぁ、アヤ」

「な、何ですかレンさん…?」

「気のせいかもしれねぇ。が、とりあえずアレだ、質問させてくれ」

「し、質問ですか…?は、はい、良いですよ。でもなんで質問…?」

「まぁ、そこはスルーだ。……アヤ、お前出身は何処だ?」

「出身?ジョウトですけど…」

「………」

「ジョウト、か…」

「(え、何これ何で二人共黙るの)」

「……………」

「…………、蒼凰」

「は、はい!」

「……お前に、歳が六つ離れた……………………………栗色髪の蒼色の瞳にバイク片手に暴走族の仲間を連れてナギサロードを駆け回る『碧紫』と呼ばれ昔は一人で百人あまりにメンチ切った伝説を持つ男を、身内にいたりするか?」

「Σなげぇえええ!?そして今の一息で問われた質問で確実に誰だか分かっちゃったよボク!クソ兄貴だろ!?それ百パーユイ兄の事でしょ!?」

「……やはり、ユイの妹だったか…」

「……世界は狭いな…」

「え、ちょ、え。何ですかその遠くを見る目は。え、二人共どうしたんですかボクの顔見て溜め息つかないでくださいよ。………もしかしてあのクソ兄貴がなにか迷惑を…!?」

「……安心しろ、迷惑などとは思っていない。暴走族とはいえユイには警察諸々感謝している。奴が現れた事でシンオウの犯罪が激減したのもまた事実だ」

「………そういえばゴウキさんは警察の仕事もお手伝いしていましたもんね…そう考えるとゴウキさんとユイ兄は知り合いみたいなモノなんですか?」

「あぁ。奴には感謝していると同時に、仲良くさせてもらっている。俺は警察と奴…暴走族の仲立ち役と言えば分かるか?」

「あー、なるほど…。え、あのゴウキさんが仲立ち役!?暴走族と!?マジで!?」

「どの暴走族でも正統派な『碧紫』は好感が持てる。奴も仁義は通す。大概な事は大目に見ている」

「あの横暴なクソ兄貴が本当にお世話になってますよ本当に…!感謝とか全くクソ兄貴には無縁な言葉を…!」

「それにユイも武道の嗜みを持っている。相当な実力を持つアイツと是非とも拳を交えて見たいものだ」

「壮絶な戦いになりそうだ…!いやむしろユイ兄絶対に頑固拒否しそうだ…!」

「お前、むしろそっちが目的だろ」

「否定はしない」

「レンさんは?さっきの様子から知り合いかと思うんですが…?」

「俺か?あー、俺はアイツとは知り合いだ。よく情報交換とかしてな。まぁ、仲良くさせてもらっているぜ」

「白皇は情報屋でもあるからな。知り合いなのも頷ける」

「へぇ〜。ウォッチャーと暴走族ってかなりかけ離れていると思っていたけどまさかの繋がりが…。ちなみにレンさん、ユイ兄との出会いは?」

「………………あぁ、出会いなら……ナギサロード歩いていたら地面に寝そべる停電野郎を轢きそうになりかけたユイを鼻で笑ったら近くにいた部下の奴等にいちゃもんつけられたからボッコボコにさせたのが始まりだ」

「ええぇええええ!?クソ兄貴何しちゃってんの!?いやいや停電王子何しちゃってんの!?むしろユイ兄を鼻で笑うとか!そして簡単に状況が浮かべるのは何で…!?」

「勿論んな事すりやぁ奴が黙っている訳がねぇ。バトル勃発だ。アイツのレントラー無駄に強かったな…俺のレントラーと良い勝負だったぜ」

「(え、レンさんがレントラーって…ギャグ?)」

「最後はリアルファイトで閉めた」

「閉めちゃったの!?」

「アイツに殴られた腹が今でも疼いてしょうがねぇぜ」

「羨ましいな、ユイとバトルとは。そのバトルはどっちが勝ったんだ?」

「良い勝負だったぜ?けどキリが無かったのかアイツの部下共が試合を止めやがってな。最後に一発蹴り上げた俺の一撃とアイツが振り上げた一撃でお互い撃沈の引き分け。気付いたらデケェ豪邸にいたからマジでビビった。顔を合わせた瞬間ドライバーぶっ放されて死ぬかと思ったぜ」

「奴らしいな」

「奴らしいなの一言で片付けちゃったよこの人!明らかツッコミ所が多いんだけど!?」

「今じゃ酒酌み交わす仲だ。あの頃が懐かしいぜ。ハハッ」

「うわ…あのクソ兄貴に着いて行ける二人がある意味凄い…ボク二人を改めて尊敬しますよ」

「ゴウキ、たまにはユイにでも連絡してみようぜ。きっとアイツ、自宅で愛用バイクでも弄ってんじゃねーか?」

「そうだな。生存確認はしておいてもいい。蒼凰の名前を出せばきっと奴も驚くだろうな。話もきっと弾む」

「いや…絶対あの人ボクの事鼻で笑いますって…!」

「みんなー、おやつ出来たよ〜」



**傷痕の華**




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