知らない顔で笑う貴女



最近、最近気付いた事がある。


ミリさんは自分と同じ同年代の超美人さんで、笑うと本当に綺麗な笑顔をする女の子。同年代と言ってもぱっと見たら20歳くらいの歳上に見えるけど、同い歳。どうして見た目でこんな差が出てしまうのだろうか、と考えてみた事もあったがきっと雰囲気だろう。大人っぽいというか落ち着いてると言うか、第一印象はそんな人だ。

でも喋って見れば大人っぽいとこもあるけど、大体8割りは茶目っ気があって楽しい人。冗談が通用する楽しい人だ。そんな人がいつも笑っているのは当たり前の事。


最近、気付いた事がある。


そんな人が影を差して笑う事があるんだと。

ミリさんを前にしていきなり倒れたロケット団に目を白黒させる。何か、したのだろうか?自分に振り返ったミリさんは笑っていた。二体の白と黒のイーブイを静かにボールに戻し、「帰ろうか」と言ったミリさんは確かにいつも通り笑っていたけど。
笑顔に影を差していた。笑っている。笑っているけど目が笑っていないミリさんに密かに怯んでしまった。



「ごめんね、巻き込んじゃって。さ、帰ろうか」

「あ、の…ミリさん、さっき何して、」



彼女は言う。笑いながら。



「アヤちゃん、そんな事は知らなくて良いんだよ。


――貴女は知らなくて良い事だ」


静かにミリさんを訝しげに見上げるサンダースを撫でるミリさんを、その笑顔を、初めて怖いと思った。



知らない顔で笑う貴女、

(ねぇ君は、ダレ?)



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十五夜




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