『アッハッハッハッハ!』

「うらぁああああああ待てコノヤロォオオオオ!!」



ガシャンガシャン。

ドタドタドタドタ。

そんな暴れる、いや、走り回る音が室内で響き渡っていた。

二人(一人と一匹)が走った後にはポタポタと多く垂れる水滴が床を濡らしている。その両者は互いに全身がずぶ濡れだ。その理由は風呂でリオルの体を洗っていた、そんないつもの日常。



「ちょっとリオルゥウウウ!!いい加減にしてよバカ!まだ頭に泡ついてるんだからね!目に入ったら痛いんだからね!!どうなっても知らないよォオオ!?」

『アッハッハッハッ!アヤ、アヤ!あわ!泡だらけ!ひどい格好!いい格好!』

「それ酷い格好なの良い格好なのどっち!?」

『どっちも!』

「中間なんだねそうなんだねそれは誰のせいだと思ってるんだ…!」


「……………」

『『『…………』』』



そう、いつもの日常。

アヤがリオルを風呂に入れた後、大体がこんなおいかけっこに早変わりする。経路はこうだ。洗っている途中に体中泡だらけのリオルがアヤにタックルをかましアヤを泡だらけにする。それに怒ったアヤがリオルを引き剥がそうとするが身体をよじ登りまた泡だらけになる。そこから遊び心に火がついたリオルが風呂を飛び出し、アヤもリオルを追って…というそんな感じだ。

ドタドタドタドタ。

そんな音とアヤの叫び声を聞いたポケモン達は一斉に溜め息を着いた。ソファに座り、テレビを見ていたレッドもその音を聞くやいなや「またか」と小さく息を着く。そんな毎回毎回飽きないのかと言いたいところだが、またそのおいかけっこ時の会話が面白いから暫くはそのままにしておく自分もどうだかとレッドは思った。それはレッドだけではなくポケモン達も一緒なのはアヤには秘密だ。



「お願いだから止まってよリオルゥウウ!すばしっこい君にボクが追い付く訳ないじゃない!」

『ダイジョブ!しぬ気でやればアヤ、何でもできる!』

「元気があれば何でもできるとかそんな風に使ってんなできる訳ないだろがぁああああ!」

『あ、アヤ洋服すけてる。したぎ見える!』

「ちょっ、えええええマジで!!??」

『うっ…………そー!』

「きっさまぁあああああああああああああああ」


「………………」

『『『……………』』』



変わらない日常。

もうそろそろ苛ついたアヤが泡で派手に転倒する頃だと見計らい、レッドはソファを立った。



うっ……そー!

(ぎゃああああああああ)(ほら、転んだ)

そして助けに入る事一秒前。


リオルくんと


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