「よしわかった、じゃあこうしよう。ジャンケンしよう。ジャンケンして負けた方がアイツを葬り去る偉大なる権限を得る事が出来る」

『うん!』

「よし、言ったな?いったよねボクちゃんと聞いたよ男に二言はないかんなじゃあせーの!ジャーンケェエエンホォオオイッ!!」



アイツが、出た。



『ねぇちょっと待ってよマスタァアアアアアアアア』

「煩いつべこべ言うな!ジャンケン負けたんだからここは潔くルゥちゃん何とかしなさい!大丈夫、アヤさんここでちゃんと見てるから!見てるから!!」

『だってこれ明らかにボクが負ける戦だって想定してたじゃんんんんんボクにグーしか出せないって明らかに想定してたじゃんんんんん!!』

「それを気付かないルゥちゃんも悪いんだよ!!何ボク、ジャンケンで負けた事ありません何かー?みたいな顔してんの!君明らかにグーしか出せない手ェしてんのに何でジャンケンする前に気付かないの!!負け戦に自ら負けに行くもんだよ!」

『ズルいよマスター!ボクがグーしか出せないって知ってるのにジャンケンで勝負なんて!ズルいよ反則だよぉおおお』

「違う!!立派な戦略だ!!奇策師なボクの立派な戦略です残念でしたぁぁぁ」



家には、ボクとカイリューしかいない。レッドや他の子達は只今外出中だ。そんな中リビングである事件が起こっている。現在進行形で。
普段は人間四人は座れるだろう広いソファーも、カイリューと二人(一人と一匹)で座れば物凄く狭く感じる。いや、実際凄く狭いんだけども。そんなソファーの上で二人してよじ登り、互いが互いにソファーを陣取ろうとしている謎の光景がそこにあった。

だがしかし、それには深い訳がある。

カサカサカサ、とすばしっこく黒光りする気持ち悪い触覚を揃えているそいつは正しくアレだ。G。そう、人は奴をGとそう呼んだ。そのGはボクら獲物がソファーから降りて来るのを、今か今かと待っているのだ。(そう見えた)



「わぁああああああこっち来たあああああああ」

『キャアアアアアアアアアアアァァアアアア!!!!』



そしてまたすばしっこく這浪するGは少しずつこちらへ向かって来ているではないか。このままではソファーさえ占領されてしまう。
何故、何故この時に限ってカイリューしかいないのか激しく悩んでしまう。レッドとかピカチュウさんとかサンダースとか(この間容赦無く亡き者にしていた)せめてムウマージだけでも家に残って貰うんだった…!



「ほらルゥちゃんんんん!!あいつこっち来るってえええ!!ソファー占領しようとしてるってえええ!!」

『ムリムリムリ絶対ムリだよボクああいうの触りたくも出来れば見たくもないもん予想範囲越えてるもんんんん!!マスター言ってたよねボクらのこと家族みたいに大事だって言ってたよね!?こういう時の為にボクらポケモンを守るトレーナーっているんだよマスター!』

「残念でしたーボクトレーナーじゃなくてコーディネーターですぅー」

『コーディネーターでも何でもこう言う非常時に対応してこそコーディネーターだと思うよマスター!』

「ハンッ!ボクコーディネーターって言ってもマガイモノなんでぇ。コーズィネィターなんでぇ」

『マスタァアアアアアア』

「ルゥちゃんこそ「マスターはボクが守るよ!」とか言った癖に全然実行されてないよ今こそそれを実行するべきじゃないの!因みにボクはスタンドとレッドの逆鱗のその次にGが恐い!!だからほら早く行って、来な、さいぃいいいいい!!」

『うええええええん嫌だってばぁああああああ』



ボクにへばりくっついているカイリューを蹴り落とさんばかりにカイリューの足を踏みつける。だがやはりドラゴンポケモンは頑丈に出来ているのか、人間に蹴られても全く痛くなさそうだ。それに小さく舌打ちしながらも、カイリューを駆り立てようと必死なボクを尻目にGは少しずつだが接近して来る。



「ほらほらほらほらこっち来てるよォオオオ!!どうにかしろドラゴンタイプゥウウウ!!」

『マスターお願いだよGはボク無理だよ!絶対無理!氷タイプのポケモンの次に無理だよ!マスターお願い龍の牙あげるからぁあああああ』

「君にはドラゴンの威厳は無いのか!!っ、わぁあああああ飛んだぁああああああッッ!!」

『うええええええん助けてマミィイイイッ!!』



助けてマミー!

(その後、外出から帰って来たレッドさんに助けられました)


カイリューさんと


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