しまった。
どうやら怒らせてしまったらしい。
「サンダースー」
『…………』
「ねぇーサンダースー」
『…………』
「サンダースってば」
『…………』
「ね、返事お願いよーサン」
『…………何だよ』
「お」
ボクに背中を向けて部屋の隅っこで丸くなる相棒は、どうやらご機嫌斜めらしい。だがしかし無視する事はあまりしない彼は、今日は本日四回目の呼び掛けで返事をしてくれたみたいだ。背中を向けたまま首だけをボクの方に傾け、じろと恨めしげに見るそれは相当いじけているらしかった。
「ごめんてー…別にわざと置いてった訳じゃないんだってば」
『……起こせば良いだろ』
「いやだって寝てたじゃん。わざわざ起こしてまで着いてきて貰わなくても良かったし。ショップまでだったし」
『それでも外に出た事には変わりはないだろ。…よりによって何であんな大人数連れて行くんだよ』
「え?いやほら、荷物も多くなる予定だったし、皆も欲しいものあるからって着いてきて貰ったんだよ」
『荷物が多くなるってわかってたんだろ。だったら俺も連れていきゃ良いじゃねぇか』
「(寂しかったのかサンダースさん)もー…サンダースさん何拗ねてんのさ。それに皆じゃないよ、ムウマージも一緒に寝てたでしょ」
『いやお前…鼻先がくっつくくらいの距離で目の前で目ぇカッ開いて寝てる奴と一時間密室空間に残された俺の気持ちを察せよ』
「(それは嫌だな)」
確かにそれは嫌だ。
一時間くらい前、寝ているサンダースとムウマージを残して買い物に出掛けてしまったのが気に食わないらしかった。寂しい…いや寂しいというか色んな意味で恐怖を感じたのか、目が覚めたらムウマージ以外誰も家に居なくて焦ったのだろう。加えて森の中だから室内は薄暗いし物静か。確かにそれは心臓に悪い。
買った買い物袋の中を、頭を突っ込んで早速物色しているリオルとムウマージを見てハタと思った。………またショップまでがめんどいけど、仕方ない。
不機嫌そうに垂れた耳が何だか可愛い、と言うのは黙っている事にして。サンダース、と頭を撫でれば彼は顔を上げた。
「忘れ物しちゃった。一緒に行ってくれる?」
『………さっさと行くぞ』
素直じゃないよね
(寂しいなら寂しいって言えばいいのに)
サンダースさんと