act.04 突拍子もない話
「ってな訳でどうですか皆さん」
「「「?」」」
自分で言っときながらも突拍子すぎるこの言葉。
ほら、手持ちの皆さんも首を傾げているよ。ボクは苦笑いしてジョウト地方のマップを広げた。
ジョウトに帰ってきてながら5年間もウバメの森からコガネシティ(一ヶ月に一度)までしか出ていないから、きっとジョウト地方全体が少しずつ変わっていると思う。
それに一番の目的はみんなの羽根を伸ばすこと。
「少し遊びに行こうと思って」
「ブイ?ブイブイ、ブイ?」
「ごめん何言ってんのかわからんのよ」
少しながらしょんぼりするサンダースの頭をすいませんすいませんと連呼して撫で回す。その隣に居たシャワーズがよしよしと尻尾で背中をバシバシ叩いているけどどうしても尾で打たれているようにしか見えない。とても痛そうだ。
「みんな、ボクに合わせてずっと5年間森の中で生活してくれてるでしょ。だからちょっとでも羽根を伸ばせればと思って…」
ボクの仲間達は全匹が森の中で生活できる訳では無い。本当ならシャワーズだって常に自然の水場にいたいはずなのに。旅に出ている訳ではないし、こんな薄暗い森の中に5年間も自分の都合でここに縛り付けてしまっている。
それについて申し訳なさを感じて。同時にみんなの努力を1回。あの時全て台無しにしてしまった。仲間達はあの時から不思議なくらい何も責めてこないし、不満を顔や口に出したりもしたことがない。
おそらく。気を、使われている。
みんな自分のことよりも、ボクの精神面を一番大切にしてくれていた。
ボクがみんなに言わんとしていることを察して理解してくれたらしい。パチパチと瞳を瞬いて、それぞれが「まあ気にするなよ」「元気出せよ」と言うようにボクを慰めてくれる。シャワーズだけビターンビターン、と尾を鞭のようにして打ってきてとても痛い。
「……ありがとね、」
うん、元気でた。
「よし、じゃあ明日から行こ!バトルは極力人目が着くところは避けるように歩いて、人が多い所は最悪の場合はフラッシュで目潰しして逃げよう。うーん。久々に贅沢して、ちょっと美味しいご飯も食べたいな。ポケモンブティックとかにも寄りたいし、それからそれから……」
ぶつぶつと呟くボクにポケモン達もやれやれと項垂れたのだった。