テキスト | ナノ

「あ、星光ってる…」

「星ぐらい光ってるだろ、」

「私星好きだなあ〜」



順平と一緒に帰っている途中にふと上を見上げると星が光っていた。
星の名前なんて分からないし、どれが星座かなんてのも知らない。
ただ綺麗だなあと思うだけ。


順平と帰る何気ない道、会話も在り来たり。
それでもその時間がとても大切だ。

はっきりと見える星は珍しく、最近は曇りばかりで空がどんよりしていた。久しい星に笑みが零れる。
携帯で撮ろうと思い、フレームインさせるも当然のように写らない。
順平の呆れ笑いが横から聞こえた。

今度順平の練習がない日にプラネタリウムにでも誘おうかな、なんて企んでいると先に順平が私の名前を呼んでデートのお誘い。
来週の日曜日プラネタリウム観に行くか、恥ずかしいのか余所を向いて言う順平の耳は赤かった。
握っていた手を強く握り、返事をする。



最近は二人で会うこともなく学校や帰り道だけ。
練習が忙しいから仕方無いことだけどやっぱり少し寂しい。
そんな時に誘ってくれたんだから嬉しいに決まっている、普段も嬉しいのだけれど。尚更だ。






私が星を好きなのはただ単に綺麗だとかだけじゃない。
理由を言えばきっと順平には「だアホ」なんて言われそうだけれど。

星は、順平みたいで好き。
普段は周りの光で光っているのが分からないけれど、勝負所になれば誰よりもピカピカに輝く。
昼間は光らないけれど、夜になると光る星と似ていると思うのだ。
あまりにも照れくさい台詞だから順平には言えない。



「黒子君は火神君のことを光だって言うけど私の光は順平だよ」



「……なぁ、光を作るのは何だと思う?」

「えっ、んー……太陽? 熱かな?」

「何でもいいけど、オレの中じゃそれがお前。オレが光るためには絶対必要だ」



デートの約束よりも何倍も恥ずかしいようなことを今度は真っ直ぐ私を見ながら言った。
予想斜め上の言葉に戸惑っていると自分の言葉を理解したのか、瞬時に顔を赤らめ口を手で覆う順平。
そんな風に照れられるとこっちまで照れてしまう。

互いに気まずくなって沈黙が流れる。
でもその沈黙を破ったのは言い出した本人の順平だった。



「普段はこんなこと口にしねーけど、いつも思ってるから。さっきのは、くさかったけど…」ゆっくりと紡ぐ言葉はあまり好きだとか言わない順平にとってはかなり驚く言葉で星の力なのだろうか、今日はやけに色々と言ってくれる。
順平も最近一緒に過ごせなかったことを気にしてくれていたのかな、と思うと頬が緩んだ。






「順平の不意打ちなとこ、好き」

「そうか? そんなつもりねーよ?」

「順平の二重人格なとこも好き」

「あー…、それっていいのか?」

「順平の全部が好き、」

「………オレ、も」




くすりと漏れた笑みはどちらからか、重なった影を星だけが見ていた。










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