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星が満ちる夜がきました。始まりの樹に浮き出た扉は、星の光を集めたように瞬きます。
「今日はご主人たちとの寂しい…おっと!新しい門出があると聞いたんだけど!!!!!!!」
女中が駆け寄ると、既に人は集まっていました。それぞれの表情は、希望に満ちたものも居れば寂しそうな顔もいて。
けれど思う事はあれど、己の決意や意思を胸にそこにおりました。
「ビオレお姉様、寂しくなります〜」
シュンとしたようなローズマリーに、少し泣きそうなビオレータ。
「また帰ってくるし、会いに行くのじゃ!約束じゃ!!」
ひしと抱き合う二人。
「可愛いアリス達、またいつでもお茶会をしたければ戻っておいで」
「そうだな!服が必要になったなら任してくれ!!」
その横でカプリチオはお茶を飲みながら、ペコラは小さなミシンで何かを作りながら、アリス達に言いました。
「いやはや、みんなの門出だ。さぁ、星が欠ける前に」
「うん、……またね〜」
トウラムとディーがそう言ってアリス達を誘導します。
「いっておいで我らがアリス!そして我らの同胞!!」
旅立つものに、小さい体で大きくネバーランドが手を振ります。それに合わせるように他の残るもの達も、心なしか名残惜しそうに手を振りました。
そうしている間に、旅立つ予定のもの達は、一人、また一人旅立ちました。
「我らはアリスの幸福な夢になり得ただろうか」
閉じた扉を見て、ネバーランドが呟きます。
「あぁ、きっとそうに決まってるさ」
「さぁて、次アリスが帰ってきた時に驚かしてやろうぜぇ?な??王様」
モックとビルがネバーランドの肩をを叩きました。
……月日は流れ。
それぞれ、旅立ったもの達は年を取りました。あるものは子供を連れ、やがては孫を連れ。また、皆、出会っては別れ、泣いて笑って。
彼らはどんな物語を紡いだのでしょうか。どうかそれぞれがそれぞれにとって、幸福な物語でありますように。
「めでたしめでたし…で良いのかしら」
「ふふふ、二つの国も一つにまとまったのだし、それで良いのではないでしょうか」
「……いつまで続くかしらね」
「あら、素直じゃない貴女も好きですよ」
Alice in separate world
(参加してくださった皆様、ありがとうございました!)