1年で1番嬉しいかもしれない1日ももう終わりだ。
クラスの子にもいっぱいおめでとうを言ってもらったし、部活の子からプレゼントをもらったりもした。田島と三橋からもジュース買ってもらったし。満足満足。
あ、そういえば泉からは何も言ってもらえなかったな。いつも3人一緒にいるのに。それに私はちゃんと11月29日にメールしたっていうのに…なんか考えたら悶々としてきた。悔しい。

RRR…

お、電話。…って噂をすればなんとやら。泉からだ。
こりゃあ祝ってもらえるなー。なんて思いながら通話ボタンを押す。

「もしもし?」
「おー。なぁ、明日の数学の課題教えてくんね?」
「…は?」
「いや、だからシガポの課題だよ。俺今日寝ちったからよ。」
「…」

これは見事な肩すかしだ。ちょっとでも期待した自分が恥ずかしい。

「聞いてる?」
「あぁうん、課題ね。教科書の練習問題4と先週配られたプリント。あれも明日まで。どうせまだでしょ?」
「お、ばれてら。さんきゅーな。」
ちらりと時計をみれば59分。あぁ誕生日が終わるなぁ。

「どーいたしまして。じゃあまた明日、おやすみー。」
「おい、ちょい待ち。」
「ん?英語は課題出てないよ?」
「ちげーよ!…誕生日、おめでと。」
「え…」

いまいち状況を飲み込めない私に泉が続ける。

「お、日付変わった。ギリギリだな。お前さ、俺の誕生日にメールくれただろ。しかも縱読みとかくだんねー小細工して。」
「なっ。でもインパクトあったでしょ?」
「おーまぁな。だから俺もふつーじゃ面白くねーなと思って。ほんとは課題なんて知ってんだよ。この電話はお前祝うのが目的。どうよ、俺からのサプライズは。」
「泉がにやついてる顔が目に浮かぶ。」
「るせー。」

にやけたのは私の方だ。…くそう、してやられた。

「でも嬉しい。ありがとう。」
「おう。それに一番最後って印象に残んだろ。」
「そうだね、今泉のことしか考えらんない。」
「おまっ…うんまぁ、それでいいや。そんじゃ、また明日な。」
「うん、ありがとう。おやすみー。」

ツーツーツー

我ながらなかなか大胆なことを言った気がする。でも泉に祝ってもらえたという事実に鼻唄なんて歌ってる自分は相当単純だ。明日会ったらもう一度お礼を言って縱読みだけじゃなくてななめ読みってのもあるんだって教えてやろう。“泉が好きだ”が隠されてるって知ったら泉はどんな顔をするんだろう。




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