文
絵
11/16 ( 01:38 )
■
理由が欲しかった。みんなは俺を優しいというけどそうじゃなくて、俺は俺のために優しくしてるだけなんだよ。みんなが思ってるような綺麗な人間じゃない。周りを見ることに必死で俺は自分をどこかに置いてきてしまったらしい。だってほら、今の今まで俺は自分が死んでいたことにすら気付いてなかった。
■
ホームに立って線路とか電車みてるとさ、ああ、飛び込まなきゃって思っちゃうんだ。なんでだろうね、別に死にたいわけじゃない。ただ、そこに飛び込むのが当然の行動っていうか信号が青になったから渡ろうって感じ?今はまだ思うだけで体は動かないけどもし動いたら止めてね。「死にたくはないんだ。」
■
俺という傷が膿んで痛んで腐って、あなたが死ぬまでそこに残り続けますように
■
主人公だったら、どんな些細なことでも物語になる。俺は主人公じゃないから、些細なことは些細なことで終わってしまう。そもそも、俺が生きてようが死んでようが彼らの物語には影響しないのだ。背景の賑やかしぐらいにはなっているだろうか、それも過ぎた出番か、俺は幕引きを見ることなく舞台を去る。
■
純粋でありつづけるというのは、狂っているのと同義である。そいつはまさにその典型。ひとつの望みを剣に、盾も持たず世界を駆けていくそいつは同調にも反感にも興味を持たない。「敵」であるものを屠る、それだけを生きる理由にしているそいつは、この世界の誰よりも純粋で、誰よりも歪な存在だった。
▲