『Remote』全5ページ
「寺内先生、お呼びですか」
授業のプリントを配るのを手伝ってもらおうと学級委員を準備室に呼んだら、芹沢くんが来た。
反射的に身構えてしまったが爽やかな笑顔に少しホッとする。
「学級委員は欠席ですので僕が来ました」
「そうなんだ。ありがとう。このプリントなんだけど授業前に配っちゃいたいんだ。手伝ってくれる?」
資料の束にポンと手を置いて彼を見た。
「電車、変えたんですね」
さっきとは違う、ニヤリと意地悪そうな笑顔。心臓が跳ねてドキドキが収まらなくなった。
「だ、だって……」
「人前であんな気持ち良さそうにビクビクしちゃってこっちがヒヤヒヤしましたよ。生徒に指でイかされた感想は?」
「や、やめて……」
思い出すと恥ずかしくてたまらないのにじわっと下着が濡れてしまった。目を反らして下を向くと芹沢くんが詰め寄ってくる。
「先生、これ見て下さい。よく撮れてるでしょ」
ツヤツヤの黒い携帯の画面にはあの日の私がうつっていた……
赤い顔で眉をひそめて、丸出しの胸まで……
「や……っ!消して!お願い……」
「嫌ですよ。先生のエッチな姿なんて貴重ですから。気持ちよくて気づかなかったみたいですね」
「芹沢くん……」
「先生が何でも言う事聞いてくれるなら、考えないでもないです」
突然の脅迫に私はただ言いなりになるしかなかった。
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