こく、と甘いコーヒーを流し込む。疲れた頭に冷たい刺激はありがたかった。
「あ、お金。小銭あったかな」
「いいよ、そんくらい。変な奴」
一言小馬鹿にするのはどうやらこの人の癖らしい。褒められた癖じゃないけど嫌味な感じはしなかった。
「じゃあ遠慮なくいただきます」
「あ、やっぱり前言撤回」
ん?と思った瞬間、恭介先生の顔が目の前にあって、唇を奪われてた。
座っている私にかがみ込むようにしてキス。
触れるだけのキスなのにその唇の感触はとてもエロティックだった。
「な、なに……何するんですか!」
「誰もいないしお代がわりにチューでももらっとこうかなって」
意地悪な笑顔でそう言うと再び唇を寄せる恭介先生。
「んっ……ふっ……」
離れようとしてもますます椅子の背もたれに押し付けられるだけでキィと音を立てる。
首を捻ったって追いかけられて、その舌に捕らえられる。
舌が歯の裏側の歯肉との境目、そこをなぞって。思わず目を閉じてしまった。
ぞくりと性的な快感が背中を走る。恭介先生の腕を掴んで声が出ないように必死に耐えた。
「せ、んせ……、や……」
「カワイイじゃん。芹沢が目をつけるはずだ」
「え……?」
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