日曜日の休日。

今日は絶好デート日和だというのに実の恋人はコントローラーを手に、永遠とゲームをしているのだ。どうやら新しいカセットを買ったらしく俺には目も向けない、そんな状態が何時間も続いていた。


さすがに我慢の限界を迎えた俺はゆっくりとゲーム機に近づいてリセットボタンを押した。すると画面が真っ暗になった。それと同時に「あぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」という叫び声が聞こえた。



「なにすんだよ!」

「押しちゃった」


テヘッとお茶目に笑ってみた。しかしケビンの目は血走っていて、そして怒りのあまり震えていた。



「せっかくボス戦まで行ったのに!」

「だってケビン、俺のこと無視すんだもん」

「お前、サイテー」

「ヤキモチ妬いてやったんだよ」

「めんどくさいヤキモチだな」


どうやらデータを消されたことが本当にムカついたらしく、まったく動く気のないケビンは再びゲームの電源を入れた。それを見かねた俺はゲーム本体を奪ってやった。


「返せよ」

「絶対に嫌だ」

「なんでオマエが拗ねてんだよ」

「そんなゲームばっかしてて飽きねぇの?」

「全然」

「………………」

「………………」

「今日は天気いいですね」


なんとなく話題を変えてみた。そしてなんとなく敬語になった。


「こういう日はどっか出かけてーな」

「出かけようって言えばいいだろ」

「言ったらデートしてくれんの?」



そう言って俺は後ろのソファーに倒れ込んだ。そうするとケビンはクルッと振り向いて俺に言った。




「当たり前じゃん」



彼があまりにもサラッと言うから思わず目を丸くした。そして素直すぎて逆に赤面してしまった。





(なんでこんな時だけ素直なんだよ)