「スターダスト」

「ん?」

「って何のことか分かる?」



今日は久々の依頼があって今はその帰り
夜遅くに未成年の新八くんを一人で帰らすわけにもいかず、ちゃんと家に送り届け私達は今から万事屋に帰るところだ
私は疲れて眠る神楽ちゃんを背負う銀ちゃんの横を付いて歩く



「……銀さん侍だから外来語とか必要ないし」

「……………。」

「何、その目」

「べっつにー!スターダストって云うのは星屑のことよ」

「星屑って具体的にどんなの?」

「んー…星屑って云うのは散らばって光る無数の星のことなんだけど…ほら!星屑を散りばめた夜空ーとか言うじゃん」

「知らねー」

「…ロマンのない男」



冷たい視線を銀ちゃんに向けたが銀ちゃんはそんなこと気にしないで前を向いたままだった




「で?スターダストだか星屑だか知らねーけどそれがどうした?お前は天体学者にでもなりてぇのか?」

「別にどうもしないし天体学者にも興味ないんだけど……ただ今日は星が綺麗だなって」

「あー?」



銀ちゃんは歩きながら首を上に向けて空を見た
……前見て歩かなきゃ危ないわよ



「あー…ホントだなー…」

「メガロポリス江戸でもこんな綺麗な夜空見られるんだね」

「あぁ…」



銀ちゃんは尚も上を向いたまま歩き続けている



「私、死んだら星になりたい」

「何言っちゃってんのこの娘。乙女ロマン思考か?」

「違うわよ」



小さい時に大好きだったおじいちゃんが死んでしまって、私は泣きながら母に「死んだら人はどうなるの?」と聞いた
母は私の頭を撫でながら「人は死んだらお星様になるのよ」と言った


今はもう人が死んだら星になるなんて純粋なこと思っちゃいない



「…―けど私は死んだら星になりたいな…」

「何か言ったか?」

「ううん、何も」

「俺ァ死んだら星じゃなくて天国でのんびりしてぇよ」

「天国行かなくてものんびりしてるくせに。私はー…もし銀ちゃんより先に死んだら星になりたいな」

「お前えらい星にこだわるな」

「だって星になったら上から銀ちゃんのこと見守ってられるでしょ?」



星は夜にしか見れないけど、それでも夜に出て来て江戸の街を見下ろして寝息をたてる貴方を見て、あぁこの人はちゃんと生きてるって思いたいじゃない



「……やっぱり俺も死んだら星になりてぇ」

「私より後に死んでも?」

「だってお前、俺より先に死んだら星屑になんだろ?」

「うん」

「だったらお前が光ってる横で一緒に光ってたい。俺は死んでもお前の横にいてぇよ」



銀ちゃんは真っ直ぐ私の目を見つめて言った



「ある意味プロポーズよね」

「俺と星屑になって下さい」

「ふふふ、喜んで」



もし同時に死ねたら、
その時は天国で二人一緒にのんびりと暮らそうか



そんな約束をして頭上で光る無数の星を見上げた



end


090402

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