「君は誰?」


遡ること数時間前
総悟の頭に草野球をしていた子達が打ったボールが直撃した
総悟はそのままバタリと倒れ今の今まで目を覚まさなかった
そして目を覚ましてから数時間
どうやら彼は記憶喪失になってしまったらしい


「てなわけで総悟の世話係はお前な」

「ちょっ、なんでですか!!土方さん達も手伝って下さいよ!」

「うるせー俺も近藤さんも山崎も仕事があるんだ、仕方ねぇだろ」

「仕方なくねぇよニコチン野郎が!うち二人はストーカーとミントンしてるだけじゃねぇか!」

「うるせー!とくにかく総悟の世話係はお前だ!以上!」


そう言って土方さんは部屋から出て行った
ざけんなマヨラーめ!お前をマヨネーズにしてやろうか!


「あの、僕はどうすれば…」

「…………。」


私がこんなにも嫌がるのは総悟の性格が違いすぎる所為だ
いつもは私を虐め抜くのにそんな気配は微塵も感じられない
誰だこの爽やか好青年
一人称が僕だしなんか謙虚だし…気持ち悪いことこの上ない


「あー…とりあえず記憶が戻りそうなとこでも巡ってみようか」

「はいっ」


私は爽やかな総悟を連れて公園に来てみた。彼はよくここでサボっていたし何か思い出すかも


「ここは…」

「公園だよ。なんか覚えてるもんない?」

「すみません…」


爽やか総悟はショボンとしてベンチに腰掛けた
なんかやりにくいなぁ…
私もベンチに腰掛けると万事屋トリオが見えた
向こうはこっちに気づいてないみたい
あの人達に関わるとめんどくさいから黙って見てよう


「あぁん?てめぇはそんなんだから新八なんだよ!」

「どういう意味ですかそれ!」

「だいたい銀ちゃんが悪いアル!」

「うっせー黙れチャイナ娘!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ万事屋トリオ
相変わらず仲いいなァ…
ふと隣にいる総悟を見てみると総悟は万事屋トリオをじっと見ていた
なんか思い出しそうなのかな


「鼻フックデストロイヤァァァァア!!!」

「うがっ…!!」

「いけ定春!新八の頭をかみ砕くネ!」

「ちょ、待っ、神楽ちゃ…ギャァァァァア!!」

「…ってー!おまっ、これ、鼻取れてない!?銀さんの鼻ちゃんと付いてる!?」


新八くんが鼻フックで銀さんを背負い投げして神楽ちゃん(定春)が新八くんの頭に噛み付いた
容赦ないなオイ、なんだあそこは。ドSの集まりか


「…っう!」

「え!?総悟!?」


血まみれの万事屋トリオを眺めていたら横で総悟が頭を抱えて苦しみだした
何故だ!今のどこに記憶の枝があったんだ!


「ぼ、僕は…」

「総悟!」

「…ッ俺は…!」

「総…いったァァァァア!!!!」


頭を抱えて地面にしゃがみ込んだ総悟に駆け寄ったら顔面にパンチを喰らった


「…ったァ!!何すんのよ!」

「ふぃー…やれやれ」


総悟はズボンについた埃をパンパンと掃いながら立ち上がって総悟に顔面パンチを喰らわされて地面に転がる私を見下ろした


「いつまで転がってんだよ」

「そ、総悟記憶が…」

「あぁ、万事屋の三人が殴り合ってるのを見て思い出した」


何故!?何故それを見て思い出したんだ!
あれか!ドSの血がお前の記憶を呼び起こしたのか!


「やっぱり俺ァ根っからのドSでさァ」

「ほんとにね…」

「数時間とは言え俺に構ってもらえなくて寂しかったろィ」

「あの、私ドMじゃないんですけど…」


鼻から軽く鼻血を出しながら私も立ち上がったら頭蓋骨が粉砕するくらい頭を強く握られた


「いたたたたたッ!!出る!脳みそ出る!」

「さっさと帰るぜィ」


総悟は私の頭を離すと先に公園を出た
屯所に帰ったら土方さんに頼んで総悟の寝首を掻いてもらおうと思いました。でもなんだかんだ言いつつ総悟の記憶が戻ったのでよかったなと思いました。ってあれ?作文?

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