保育園の頃から友達の私達
今日は坂田さん家の物置の掃除を手伝わされています。


「ぎゃはははっ!なんでこの高杉全裸なんだよ!」

「うっせー!お前も全裸じゃねぇかよ!」

「つーかみんな全裸ぜよ」

「ちょっと!アルバムばっかり見てないでちゃんと掃除しなさいよ!特に坂田さん!ここあなたの家なんですけどォォォオ!」


ちゃんと掃除をする私と小太郎をよそに銀時、晋助、辰馬の三馬鹿はさっき掃除中に出てきた幼少期のアルバムを広げて盛り上がっている


「もうー…」

「なぁ」

「あぁ、小太郎。どうかしたの?」

「この箱に見覚えがあるんだが何の箱だったかわかるか?」


小太郎が物置の奥から持って来たのはA4よりちょっと大きいくらいの缶の箱
確かになんか見たことあるような…


「なんかあったのか?」

「銀時、この箱に見覚えはないか?お前のだろう」

「あー…なんか見たことあるような…」

「クッキーの缶?」

「わしも見たことあるような気が…」

「あっ!わかった!これアレだよ、小3くらいのときにタイムカプセルしようとか言って結局埋めなかったやつだよ」

「あぁ!アレか!」

「なるほど、だから全員見たことがあるんだな」

「懐かしいなぁ」

「そんなことあったか?」

「あったよ馬鹿!」


幼い頃、私達はタイムカプセルをしようと計画してこの缶の箱に思い出を詰めた
けど埋めようと予定していた日に雨が降ってその日は埋めれなかった
じゃあ明日埋めよう!とか言って私達はこの箱を物置に置いたまま今になるまですっかり忘れていたのだ


「開けてみるか」

「埋めてないけど埋めたのと一緒だよね」

「探す手間省けて寧ろよかったじゃねぇか」

「埋めていたら見ることもなかっただろうな」

「ぶえっくしゅん!…っあー埃まみれじゃねぇか」


埃まみれの蓋を開けると色あせた紙や写真が出て来た


「懐かしぃ〜!この頃は晋助も銀時と身長一緒だったんだねー」

「辰馬はこの頃から一人だけでけぇな」

「アッハッハッ!ヅラはこんときから髪の毛ば長いのー」

「銀時はやはりずっと不埒な頭だな」

「なんだよ不埒な頭って!」

「不潔な頭」

「殺すぞコラァァァアッ!!」

「やってみろやコラァァァアッ!!」

「喧嘩するじゃありません!」

「辰馬ー見て見てー」

「何じゃ?」


私が辰馬に差し出したのは写真と一緒に入っていたそれぞれが未来の自分に書いた手紙
時が経って白かった紙は色あせてしまいところどころシミが目立つ


「うわっ!きたねぇ字っ!誰のだよ!」

「お前のだよ。うわー…これもきったねぇ字だなァ…誰んだよ坂本か?」

「お前のだよバカ杉」

「この字はー…一番綺麗じゃしヅラか?」

「ん?あぁ、そうだな俺だ」

「あー…なになに?…『しょうらいのさか田ぎんときへ。おっきくなってっか?アッチの方もおっきくなってるか?』」

「お前は小さい時から最低だな」

「うっせーハゲ!えーと…『今はしょうらいのゆめはねぇけどぜったいおれはとうぶん王になる!あ、あとしょうらいのおれは天パじゃねぇよな?サラサラストレートになってるよな。なってるっつーかぜったいなる』」

「ぎゃはははっ!今と言ってること変わってねぇー!」

「脳みそ小3のままってどうなの…」

「小3にしては平仮名が多いな」

「小3の金時…残念ながらおんしは今でも天パぜよ」

「シバくぞ毛玉!高杉テメーあとで覚えとけよ!」

「ぶッ、くくくっ…!」

「コロスッ…!!」

「辰馬はなんて書いてた?」

「わし?わしは…『こんにちは、未来の辰馬くん。お元気ですか?ぼくは元気です。』」

「真面目だね」

「お前は何故いつも手紙の時は真面目なんだ」

「『ぼくは将来宇ちゅうにとび立ちたいと思っています。どうですか?とべていますか?』」

「頭は飛んでるけどな」

「弾けたい放題じゃねぇか」

「黙れ。…『ではお元気で。PS.しん助くんの大切にしていたロボットをこわしたのはぼくです。あとであやまっておいてね』」

「アレお前の仕業かァァァアッ!!!」

「アッハッハッ!すまん!」

「晋助覚えてんの?」

「忘れもしねぇ…外に遊びに行って帰って来たらいつも遊んでたロボットのラジコンの手足がバラバラになって放置されてた…あの時の俺の気持ち…!!お前あの時知らねぇっつったろーが!」

「つーか手足バラバラって惨いな」

「だいたい坂本はなんでそんなことをしたんだ」

「なんか高杉に腹立ったがにかぁーらん」

「うわー純粋な理由だなーめっちゃ気持ちわかる」

「どこがだ!」

「まぁ高杉のロボット話なんざ微塵も興味ねぇからどうでもいい」

「昔の話だしね」

「ヅラは?なんて書いてたんだよ」

「うむ…『将来のぼくへ。こんにちは桂小太郎です。』」

「んなこたァわかってるよ」

「馬鹿か」

「『お元気ですか?今でもぎん時や高すぎの世話をしていますか?ぎん時も高すぎもぎょうぎが悪いので将来どんな大人になるのかしんぱいで夜もねむれません』」

「お母さんんんんんっ!!!」

「小3からお母さんってどういうことだよ!」

「あはは…今思えば小太郎って随分しっかりした小3だったね…」

「『ぎん時はあまい物をいっぱい食べるのできっととうにょう病になるだろう。高すぎは一番やんちゃなので人の道をふみ外さないかしんぱいです。あとの二人はだいじょうぶだろう。坂本は頭がちょっと弱いのでしんぱいです。』」

「お前心配しかしてねぇな」

「『ではさいごに一つだけ。おれはキャプテンカツーラにきっとなる!』」

「あ、やっぱり馬鹿だ」

「電波野郎でお母さんなのは今でもかわらねぇな」

「次は高杉ぜよ」

「あー?あー…『しょうらいのおれへ!今おれはあたまいたい』」

「どういうことォォォオ!?」

「文頭が頭痛いって何!?」

「うっせーなその時は頭痛かったんだろ」

「馬鹿じゃん!馬鹿丸出しじゃん!」

「馬鹿馬鹿うるせーよ!殺すぞ!」

「やってみろやチビ助!」

「あぁっ!?」

「いいから続きを読め!まったく、お前達はすぐ喧嘩する!」

「だってお母さん晋ちゃんが!」

「晋ちゃん言うな!」

「いいから続き読めよ!」

「チッ…『この前ポップコーンとケンカした。まきた。こんどかつ』…あ?」

「ポップコーン?」

「銀時のことだろう」

「まきたって何んだ」

「負けた、じゃない?」

「なんで片言みたいな感じで書いとるんじゃ」

「馬鹿だから単語でしか書けねぇんだよ」

「馬鹿じゃねぇ!」

「いや、馬鹿だろ」

「テメーあとでシバくからな!…『しょうらいのおれはぜったいあいつよりつよい!ぜったいかつ!ドリームキャッチャァァァアッ!!!』」

「うん。やっぱりお前馬鹿だよ」

「ドリームキャッチャーってなんだっけ?」

「昔流行らんかったか?黒子付けたら夢が叶うとかなんとか…」

「あぁー…そういやあったねそんなの、インチキ商売のやつでしょ?」

「銀時と高杉だけがハマっていたな」

「最後はお前だぜ」

「最後とかなんかヤダー」

「ヤダーってもうみんな読んじまったし」

「なんかお前の一番シミ凄いな」

「うわっほんとだ…読めるかなコレ…えーと『将来のわたしへ。けっこんしていますか?好きな人はいますか?』」

「やはり女子だな」

「恋愛のことばっかじゃな」

「『小学3年生のわたしが好きなおかしはポッキーです。好きな色はピンクと白です。好きなものはクマさんのぬ』んー…シミで汚れててよくわかんないなぁ…次の文字が"み"だからクマさんのぬいぐるみかな?『好きなものはクマさんのぬいぐるみです。好きな人は』」

「好きな人は?」

「あー…ダメ。シミで全然読めない」

「んな馬鹿な!そんな気になるとこ読めねぇとか漫画みたいなことあるかよ!ちょっと銀さんに貸してみろ!」

「別にいいけど絶対読めないよ?」


私は銀時に自分の手紙を渡した
綺麗に名前の部分にシミが出来ている
そんな馬鹿なって感じだけど本当に
銀時は食い入る様に紙を睨みつけている


「ん、んんー…」

「どうだ?」

「……ダメだ…読めねぇ」

「ほらね?」


やっぱり読めなかったらしく銀時はがっくりとうなだれた
なんでそこまで私が小学生の時に好きだった人を知りたいんだ


「気になるぜよ」

「別に読めなくても自分の好きだった奴くらい覚えてんじゃねぇの?」

「さぁ?」

「あ!お前その顔ぜってー覚えてんだろ!?」

「さぁねー誰だったかなぁ」

「その顔は絶対覚えちゅう」

「誰だよ教えろよ!」

「んふふっ内緒!」

「あっ!こら!お前達どこに行くんだ!今さらだがまだ掃除の途中なんだぞ!」

「ほっとけ、明日またやりゃあいいだろ」

「まったく…お母さんもう知りませんからね!」

「腹減ったなー」



僕等は今でも一緒です
変わっていく日々と変わらない僕等


Thank you!
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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