「ベルー」

「あー?」

「誕生日になんか欲しいものある?」

「お前の首」

「わかったフランの首ね」

「えーミーですかー?勘弁して下さいよー」



談話室のソファーに寝転ぶ私
反対側のソファーで雑誌を読むベル
離れた所でなんか飲んでるフラン



「ゔおぉぉいっ!仕事だぜぇ!」

「えーめんぐさーつーかスクアーロもっと静かにドア開けてよ」

「しししっオッサン煩いんだけどサボテンになりてぇの?」

「叫ぶしか脳がないんですかー?」

「ゔおぉ…なんだこの毒舌総攻撃は」



スクアーロが現れた瞬間毒舌を発揮する私達
スクアーロはそんな私達にたじたじだ
慌てる彼を見ていたらなんか彼が可哀相な子に思えた
ごめんねスクアーロ



「と、とにかく仕事だぁ」

「え、ミーもですか?」



スクアーロは私とフランに書類を渡した


「おいカスアーロ王子にはねぇのかよ」

「お前にはねぇ」

「チッ、つまんねぇの」

「お前らは今すぐそのファミリーを潰しに行けぇ」

「は!?今すぐ!?」

「弱小ファミリーだぁ出来るだろぉ」

「出来るけど…」

「文句言わずにさっさと行けぇ!」



スクアーロに談話室から追い出されたので渋々ヴァリアーのコートを着て外に出る



「先輩運転お願いしますー」

「えー」

「じゃあよろしくです」



フランは助手席のドアを開けるとさっと車に乗ってしまった
私も運転席に座って車を走らせる
しばらくすると人気のない道に出て遠くに今回の仕事場、相手の本拠地が見えて来た


「ほらフラン後は歩いて行くよ」

「わかってますよー」


車を目立たない場所に停めて後少しの距離を歩いて行く
屋敷に忍び込むのは簡単だった
あとはボスさえ殺せばこっちのもんだ



「フランは一階から攻めてって」

「先輩は?」

「ボス殺ってから上から順に殺ってくよ」

「わかりましたー」



フランと別れて私は一人ファミリーのボスの元へ向かう
あーあ、こんな仕事入るのわかってたら午前中休みだったからベルの誕生日プレゼント買いに行ったのに。明日ベルの誕生日だよ?スクアーロ許すまじ
この後少しでも時間あるかなー?私ももっと早く買っておけっつーの!
ベルは何が欲しいんだろ…て言うか彼女でもない私がプレゼントあげるのってどうなんだろう


ボスが居るであろう部屋の扉を開けると案の定社長椅子に男が一人座っていた



「逃げなかったの?」

「いつか殺されるのはわかっていたよ。しかし君のような美女に殺られるとは予想外だな」

「そう、お世辞でも嬉しいわ。私みたいな小娘に殺れたからって怨まないでね裏切る貴方達が悪いのよ」

「怨まないで?それは私の台詞だよお嬢さん」

「!」



男はニヤッと笑うと持っていたステッキで床をだんっと叩いた
その瞬間私の立っていた床が爆発した
床が爆発するとかマジでありえないんだけど
倒れる私に容赦なく銃弾が一発ぶち込まれた
お腹を貫通して血が止まらない
あぁもうベルの誕生日祝ってないのに私死ぬのかよ
フラーン、私黒焦げになっちゃったよ、あんた今日は私のパートナーなんだから助けに来いよ



「可愛い可愛いお嬢さん、最後に残しておきたいことはないかい?」

「かはっ…ベ、ル…」



私まだベルに好きって言ってないし
おめでとうも言えなかったよ
プレゼント云々よりおめでとう生まれてきてくれてありがとうって言いたかったよ
こんな薄汚いオッサンの手によって死ぬくらいなら戦ってる最中に謝ってベルのナイフが刺さって死ぬ方がマシだよ
ベル、ベルベルベルベルベルフェゴール
私今初めて死ぬのが恐いと思ったよ


黒焦げで血だらけで涙を流す私を見たらベルはきっと笑うんだろうな
銃口が私の頭に向けられているが指一本動かせない


伝えられなかったけど愛してたよ
さよなら、私の大好きなベルフェゴール



「さよなら、泣き顔すら美しいお嬢さん」

「バイバイ、笑顔すら気持ちわりぃオッサン」


男にナイフが数本刺さった


「っあ゙ぁ…!!」

「王子の私物ぐちゃぐちゃにしたんだからそれなりの報いは受けてもらうぜ」



ベル、私貴方の私物じゃないよ
ベル、なんでここに居るの?
言いたいことはあるけど何せ私は瀕死の状態
ベルはじわじわと殺すつもりなのか男の体に何本も何本を刺すが全部刺しても死なないような場所にばかり
ねぇベル、君が遊んでる間に私死んじゃうよ?



「つーかお前も何やられてんだよ」

「…………。」

「は?無視?…あぁ、喋る元気もないわけ?しししっそりゃそうか、お前死にそうだもんね」



ベルは私を抱き上げると床に転がっている男にトドメを刺した
そして私を抱えたまま廊下に出る
廊下は静かでコツコツとベルが歩く音しか聞こえない



「お前がやられてる間に全部終わったぜ、フランに車回させたからさっさと帰ろう。オイ寝んなよお前寝たら死ぬぞ」



ベルはずっと私に喋りかけてくるけどもう私は痛みすら感じないし頭もぼうっとしてきた
ねぇベル、私凄く眠たいんだ
ヴァリアーに着いたら眠ってもいい?あぁでもヴァリアーに着くまでに寝ちゃいそうだな



「誕生日、お前の首が欲しいとか冗談なのに何マジにしようとしてんだよ…もう日付変わったのに、誕生日って祝われるもんなんじゃねぇの?何でオレは黒焦げで死にそうなお前抱いて泣きそうになってんだよ…なぁ聞いてんのかよ返事しろよブス」



ベル泣きそうなの?ベルが泣くなんて想像つかないな
て言うか日付変わっちゃったんだ
結局プレゼントあげられなかったじゃん
ベルも一つ大人になったんだね
一つ大人になったってことで自重して自分のこと王子とか言うの止めようね



「ベ、ル…」

「何」

「誕、じょ…び…お、めで、とう…」

「……祝う気あんなら元気になってからにして」

「す、き…だい、好き…ベル、…ゴ…ル」

「ベルゴルって誰だよ王子の名前はベルフェゴール。しししっ黒焦げの女に告白されたのなんか初めて」

「ふ…ふふ、」

「お前がさ、ケガ全部治して元気になってもっかい告白してきたら王子も好きだって言ってやるよ」



だから死ぬなよ、生きて帰えれたら―…


骼の髄まで愛してあげる、


キスして欲しいなら生きろよ
唇腫れるまでしてやるから


Buon Compleanno! Belphegor.

091222

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