ジョージ | ナノ

ホグワーツを退学することに後悔なんて一切なかった
退学後はフレッドと店を始めたりしてそれなりに幸せな毎日を送っていた
そしてバカな俺は今更気づいた｡

ホグワーツに置いてきてしまった彼女に毎日逢えないことに

｢はぁ…｣

｢またため息かよ｣

｢フレッド…｣

フレッドは俺の顔を見るなり呆れた表情を見せた
最近俺は毎日ため息ばかりついている
だって彼女に逢いたくても逢えないのだ

｢毎日逢えなくなるのは退学するときに分かってただろ？｣

｢……いや､それがさー…あの時は悪戯のことばっかり考えてて退学したら毎日逢えなくなるとか…全然そんなこと気づかなかった｣

｢………もうバカとしか言いようがないな｣

フレッドは額に手を宛てて頭を横に振った
そんなこと言ったって気づかなかったもんは気づかなかったんだよ！
あぁ…！彼女に逢いたい！凄く逢いたい！
彼女はとても可愛いのだ
俺がいなくなったからって学校のバカな男子生徒に言い寄られてないだろうか
あの可愛らしい笑顔を振り撒いて毎日幸せに過ごしているのだろうか
逢いたいな､逢いたいな

｢あぁ！もうっ！逢いたい！｣

｢うざい！｣

感情が高まり過ぎてフレッドが彼女に見えてしまって抱き着いたら後頭部を叩かれ体から引きはがされた

｢いってー｣

｢ジョージが悪いんだろ｣

｢はぁ…今何してるのかな｣

｢おいおい､無視かよ相棒｣

文句をたれるフレッドを無視して椅子に座り､テーブルに頬杖をついて彼女のことを考える
今の時間だと広間でお昼でも食べているだろう
彼女の好きな甘い物が沢山並んでいるといいな
甘い物が出た日は凄く嬉しそうに笑うんだ
甘い物を口に入れて､その小さな口をもごもごさせる
もうそれが可愛いのなんのって！

｢あーんってしたい！｣

｢あーん｣

｢お前じゃないよ！｣

昼食を食べていたフレッドが食べ物を突き刺したフォークを俺に向けてきた
俺はフレッドの手をバシッと払う
お前にやられても嬉しくともなんともねぇよ！

｢まぁ落ち着けよ相棒｡ホグワーツは明後日ってから夏休みじゃないか｣

｢俺は今逢いたいの！手紙だけじゃ満足できないんだよ！｣

｢そんなこと言って昨日届いた手紙をニヤニヤしながら見てたじゃないか｣

｢ニヤニヤなんかしてない！｣

｢いいや､してたね｣

確かにちょっとニヤニヤしてかもしれないよ？
けど仕方ないだろう
愛しの彼女の手紙だぜ？
ちょっと小さく､ホントに小さく､手紙を穴が開くほど見つめなきゃわかんないほど小さい字で『愛してるよジョージ』って書かれてたのに気づいたら誰だってニヤけちまうだろ！

｢あんな虫眼鏡で見なきゃわかんねぇような字で書かずにもっと大胆に愛してるって伝えればいいのに｣

｢彼女は照れ屋なんだよ！て云うか勝手に手紙読むなよ！｣

｢悪い悪い､つい好奇心で｡けどさー…一番ウケたのがこの前の手紙の前の前の手紙だな｣

｢ウケる手紙なんて一つもないよ！この前の前の前って…フレッドお前どんだけ俺達の手紙見てんだよ｣

この前の前の前の手紙はウケる手紙だっただろうか？
俺はこの前の前の前､彼女に貰った手紙を思い出してみた

Dear ジョージ
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ハロー､ジョージ！元気？
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あれだね！もうすぐ夏休み！
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いっぱい一緒に遊ぼうね:-)
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仕事､無理しないでよ！
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手紙待ってるからね
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ルビーの指輪は要りません｡

まぁ確かにいつもと違って短文だったし変な文だったよな…
いつもなら学校であったことや俺のことを気遣ったりとかがもっと可愛らしく書かれているのに

｢あれは傑作だったね｣

｢『ルビーの指輪は要りません』が？｣

｢まぁそこもそうだけど｡あれ？もしかしてジョージ気づいてない？｣

｢何が？｣

｢スウィートハニーからの愛のメッセージ｣

｢そのくらい気付いてるよ！｣

あぁっ！こんな話してたら余計に彼女に逢いたくなってきた
愛してるよ！マイハニー！

早くキミに逢いたいな！

(ジョージ！久しぶり！)
(久しぶり､逢いたかったよ！)
(えへへ)
(ふふふ､ルビーの指輪は要らないんだよね？)
(…だって『る』から始まる言葉､思いつかなかったんだもん)

うちのジョージくは阿呆です(^p^)

090727

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テーマ「人外ファンタジー」

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