「うぎゃあっ!」

「……なんつー声出してんの」

「うぇっ…ちょ、寝てるとこいきなり襲撃されたら誰だってこんな声出るから」



ベッドで気持ちよく寝ていたのにベルがお腹に物凄い勢いで飛び乗ってきた



「てか…どうやって入ったの?鍵かけてあったでしょ?」

「あ?ヴァリアーなめんなよ」

「意味わかんない」

「なんでもいいけど早く着替えろよ、今日オレと任務だろ」

「任務って3時間後じゃん…あと1時間は寝るつもりだったのに」

「ししし、折角王子が起こしてやったのにうぜー」



うざいのはお前だろ
なんて口に出せないので無視してベッドから這い出た



「どこ行くんだよ」

「シャワー浴びるの!もうベルの所為で二度寝する気も失せた!」



着替えとタオルを持って部屋に備え付けられているシャワールームに向かう



蛇口を捻ってぬるま湯を頭から浴びる
あー…寝起きにシャワー気持ちー…



「ねぇ、」

「ぎゃあ!あんたなんで入ってくんの!ちょ!バカ!」

「は?王子バカじゃないし」



ありえないことにベルは私が入っているのにシャワールームに入ってきた
とっさにタオルを引っ掴んで前を隠す
ベルはそんなことはおかいまい無しに服のまま私の方に来る



「ちょっとベル服…」

「なぁ…」

「ベル…?」



ベルはぎゅっと私を抱きしめて、ぐりぐりと肩や首筋に頭を擦り付けている



全裸の私と服を着たままのベル
シャワーは出しっぱなしでどんどんベルの服は濡れていく



「…ベルどうしたの?今日なんか変だよ?」

「うん」



ベルは私を抱きしめる力を強めた
なんだかよくわからないけど小さい子にするようにベルの背中をポンポンっと叩く
水を吸った服はベチャベチャと音をたてた



「オレ、」

「ん?なあに?」

「…オレ今日の任務行きたくない」

「なんで?」



殺しが好きなベルが任務に行きたくないなんてよほどのことがあったのだろうか



「オレね」

「うん」

「今日夢みた、すっげー嫌な夢」

「うん」

「お前が死ぬ夢」

「私が?」

「よく覚えてねぇんだけどさ、お前何やっても目ぇ覚めねぇの」

「大丈夫だよ、私は今日の任務で死んだりしないから、ね?」

「…お前が死ぬことよりもオレはお前を守れねぇことのが怖い」



そう言うとベルは顔をあげた



「オレ今日の任務でお前が危なくなったときお前を守れるかな?」

「さあ…どうだろうね」

「ししし、生意気」



ベルの濡れた前髪をあげると綺麗な色をした目が現れた



「自信ないベルなんてベルじゃない」

「王子だって自信無くすことくらいあるんだけど」

「大丈夫だよ私もベルも死なない」

「どっからその自信くんだよ」

「さあ?どこからだろうね」



私がクスクスと笑うとベルもしししといつもの笑い方で笑った



「帰って来たら2人でケーキでも食べようか」

「ケーキよりも一緒に寝ようぜ」

「じゃあケーキ食べてから寝ようか」

「ブタになっちまうぞ」



そう言ってベルはキスをしてきた



「…っは」

「ししし、気持ちよくなっちゃった?」



ニヤッと笑うベルを見て私はベルの唇に噛み付いてやった



任務まであと少し
シャワーはまだ流れ続けている



血の雨が降る



帰って来たら2人でシャワーを浴びて、2人でケーキを食べて、2人でベッドに入って抱き合いながら眠りにつこうか



end



大人な雰囲気を書きたかったのに、自信喪失で甘えるベルが書きたかったのに何コレ(^p^)


090626

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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