「新八ー苺ミルクー」


午後3時。仕事もせずにジャンプを読み耽る俺
3時と云えばおやつの時間だ。まぁそれは関係ないんだが唐突に苺ミルクが飲みたくなったので、俺は雑よ…新八に苺ミルクを所望した。
が、何故か新八からの返事はない。


「おい!無視してんじゃねーぞコルァ!」

「新八ならいないアル」

「あ?」

「また居ないアル」

「はぁ?あいつまたいねぇのかよ」


最近新八の野郎は午後3時近くになると姿を消す。
小一時間程で戻って来るのだがどうも怪しい。


「ボス、尾行しますか?」

「お前、尾行ってどうやって…」

「家には捜査犬がいるじゃないっすか!」


そう言って神楽はバシバシと定春を叩いた。
いや、捜査犬デカすぎねぇ?


「……よし、行くぞチワワ刑事」

「ラジャーであります!」

「ワンッ」


必要ないだろうが一応木刀を腰に差してから俺達は万事屋を出た。
定春に新八の匂いを辿らせ歌舞伎町を練り歩く気だったが、定春は意外にも家のご近所で足を止めたのだった。


「定春、ここは…」

「ワンッ」

「ヘドロの森じゃねぇかァァアッ!」


そう、定春が足を止めたのは家の隣にある花屋、ヘドロの森だったのだ。


「なんでヘドロの森!?こんなとこ回覧板回す以外に用がねぇよ!」

「定春〜新八の匂いが薄かったアルカ?」


ザリッと砂利を踏む音がしたと思ったら、店の奥からヘドロのヤローが出て来やがった。


「おや、坂田さん達じゃないですか」

「ヘ、ヘドロ…」

「丁度よかった、今奥でお茶しているんです。よかったら一緒にどうですか?」

「いやいやいや!俺ほら、あの、今すっげー腹痛いから!」

「わわわ私も今はお腹いっぱいネ!」


俺と神楽が全力で否定するとヘドロは少し悲しそうな顔をした。


「そうですが…残念です…」

「ほんとマジで俺も残念ですよ!なっ!神楽!?」

「残念!残念!ざーんねん!凄く残念アル!」

「せっかく新八くんも来て下さっているんですが…」

「………新八が?」


何故新八がヘドロん家に…
俺と神楽は顔を見合わせ、渋々ヘドロの森の奥に足を踏み入れた。


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