現パロ 1月1日


お気に入りのブーツを履いて、玄関からまだ部屋にいるギンに声をかけた



「ギンーまだー?」

「わあー待って!待って!」

「もうー何してるのー?」

「なぁ、僕の財布どこにあるか知らん?探してもないんよー」



ギンは玄関まで来て私にそう言うと眉を下げて困った顔をした
そんな顔されましても…



「…昨日着てた上着のポケットの中とかじゃないの?」

「えーホンマー?」

「さぁ?」

「見てくるー」

「はーい」



ギンは上着のポケットの中を探りにまた部屋に戻って行った
そして暫くすると今度はニコニコといつもの笑みを浮かべながら戻って来た



「あった?」

「あった、あった」



ようやく準備が整ったギンと手を繋いで私達二人の家を出た
今日の目的地は家の近くにある小さな神社



「やっぱり名前は僕のことよう分かってるなぁ…僕、名前おらんと何もできへんアカンタレやわ」

「んふふっ同棲して一年経つしね、ギンの行動パターンだいたい読めるようになったよ!」

「えーほんまにー?」

「ほんま、ほんま!」

「くくっ、僕は同棲する前から結構名前の行動パターン読めたで?」

「えー嘘だぁ」

「ほんま、ほんま」


ギンが喋るたびに白い息が流れる



「名前寒ない?」

「ん、寒くないよ」

「女の子なんやさかい冷やしたらアカンで?」

「うん。ギンは寒くない?」

「名前横におるし…名前と手ェ繋いでるさかい寒ないよ」

「なんかその台詞キザキャラっぽい〜」

「だって今わざとイキってみたんやもん」

「ふふっ意味わかんないよそれ」



ギンと喋りながら歩いているとあっという間に神社に着いた
やっぱり家から近いだけあるな…



「お正月なのに人少ないね」

「みんな有名な神社にでも行ってんのと違う?」

「ここ小さいもんね」

「僕は人混み嫌いやさかいここでええわ」

「うん、私も」

「ほんならお参りしよか」

「うん」



私とギンは賽銭箱にお金を投げ入れた
それから手を合わせてお参りをする
私がお参りし終わったからチラッとギンを見たらまだ手を合わせて目を暝っていた
睫毛長いなー…鼻筋通ってて綺麗ー手ぇほそーい色白いよなぁいいなー…



「僕の顔に何か付いてる?」

「え!?」

「なんや僕の顔長いこと見とったから」



そう言ってギンがニヤッと笑ったので少し恥ずかしくなった
なんで私はギンの顔を見ていたのに気づかなかったんだ…!!



「神様に何お願いしはったん?」

「内緒ー」

「えー何でー」

「そういうの他人に言ったら叶わないんだよ!だから内緒!」

「残念やなー名前が何お願いしたんか知りたかったわぁ」

「ふふ、あ!おみくじやろうよ!」

「ん?あぁ、おみくじ?ええよ、引きに行こか」



お守りなんかが置いてあるところに一緒に置いてあったおみくじを私もギンも引いてみた



「わっ!大吉だ!」

「うわっ、僕凶や」

「ありゃ〜」

「新年そうそう最悪やわぁ」



ギンのおみくじを見るとしっかりと黒い字で凶と書かれていた
ギンは特に落ち込んだ様子でも気にしている様子でもないけどやっぱり凶は嫌らしい



「あっ、見て見て!」

「ん?」

「僕凶やったけど恋愛のとこ今の想い人が運命の人やて!」

「ほんとだ」

「ほんなら名前が運命の人や言うことやね」



私が彼女なんだし、ギンの好きな人は私なんだって思えて嬉しいけどそういうこと顔を見ながらハッキリ言われたら恥ずかしいよ…



「照れたん?顔トマトみたいに真っ赤やで?」

「う、う〜…」

「唸らんといてや〜」



赤くなる私をギンは楽しそうに弄ってくる
凶だったくせにこの狐!私は大吉だぞ!(だからなんだって話だけど)



「おみくじ凶だったのに木に結ばないの?」

「結ばへんよー持って帰る」

「なんで?」

「ん?名前が運命の人やって教えてくれたおみくじやで?大事に取っとくに決まってるやん」

「え、えぇ〜…」



凶のおみくじ保存しとく人っているのかな…?



「さて、これからどうする?このままデートでも行くか?」

「ギンはどうしたい?」

「僕は…寒いし家帰って炬燵でイチャイチャしてたい」

「ん、じゃあ家に帰ろうか」



私達はまた手を繋いで行きに来た道と同じ道を帰る


さっきギンには教えなかったけどね、私の願い事はギンとずっと一緒に居られますようにだよ
来年も一緒にお参り来ようねギン



「帰ったら雑煮食べよか」

「朝食べたでしょうー」

「食べやな雑煮減らんやろ」

「ギン頑張って食べてね」

「名前も頑張って食べるんやで」

「えーヤダー」

「ヤダとちゃいますぅ」



早く炬燵に入りたいな



40
繋いだ手から伝わる温もり


え?僕が神様に何をお願いしたかやって?
…そんなん名前とこの先もずっと二人で一緒におれるようにお願いしたに決まってるやろ
恥ずかしさかい名前には内緒やで?


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