イケメンは苦手だ。
苦手と云うかなんか話しずらいのだ。
何故かイケメンは雰囲気のある人が多いし、その整った顔に付いてある目を見ながら話したりなんかできない。
私には葵くんくらい普通の顔をした人が調度いいんだ(ごめんね、葵くん)
「落ち着くー」
「はい?」
「葵くんといると落ち着くよー葵くんは何で坊主なの?坊主いいよ坊主、普通過ぎて安心する」
「どうしたの名前ちゃん、ていうかこれはけなされてるのかな?」
「褒めてるんだよ、葵くんは髪型まで普通だねって」
「それ褒めてるの?」
「おーい、剣太郎ー!」
「あ、サエさん」
「うげっ」
佐伯くんだ…
六角中テニス部エースの佐伯くん
無駄にイケメンで無駄に爽やかな佐伯くん
たぶん六角中一のイケメンだと思う。少なくともテニス部一のイケメンだ。
あぁっなんだその髪は!お洒落なの?いや、似合ってるよ、似合ってるけどそれは君がイケメンだから出来る髪型と髪色だよ!
葵くんを見習え!坊主だぞ!佐伯くんが坊主だったら逆に気持ち悪いけど…見ろ!葵くんの素晴らしい坊主具合を!!なんて素朴な坊主なんだ!
「オジイが呼んでたぞ」
「ホント?すぐ行くよ、じゃあね名前ちゃん」
ああぁっ…!!行かないで坊主葵くん!
私をイケメン佐伯と二人にしないで!私は心の中では強く言えても口には出せないチキンヤローなんだから!
足早に駆けていく葵くんを少し恨めしく思った。
「剣太郎と何話してたの?」
「と、特に何も…」
あぎゃぁぁあっ!!何故だ!何故なんだ!
何故目を見て話そうとするんですか佐伯くん!
私が目を反らしてるんだら追って来ないでよ!
「苗字って俺の目、見ないよな」
「そ、そんなことは…」
「あるだろ」
「……………。」
分かってるなら私に構わないで!
イケメンは苦手なのよ!佐伯くん、優しい君なら私の胸の内を分かるはずだ!
感じて下さい第六感で、私は貴女が苦手なんです!
「ははっ、顔真っ赤」
その言葉に更にボッと顔が赤くなったのが分かった。
「わわわ私用事があるのでさらばであります!(何語喋ってんの私ィィイッ!!)」
迫り来る佐伯くんを押しのけて私は全力で逃げた。
顔が熱い、鼓動が早い。
「あんまり虐めたら可哀相なのね」
「見てたの?いっちゃん」
「たまたま見えただけなのね」
「ははっ、だって苗字の奴、イケメンが苦手とか言って俺と目合わそうとしないから無理矢理にでも合わせてやろうと思って」
「…あんまりやると嫌われるのね」
「だって好きな子に苦手とか言われたら嫌だからね、早く克服させなきゃ」
剣太郎みたいな坊主になるわけにもいかないしね。
イケメン攻略方法
ただサエさんがイケメンだという話を書きたかった
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