コン、コンッ

「旦那ー旦那ー俺でさァ真選組の沖田でさァ」

「居ないのかな?」

「いや、絶対いるはずだ」



総悟にプロポーズされて早数日
今日は結婚の報告と結婚式の招待状を渡しに万事屋に来た
別に郵便で葉書を送ってもよかったのに総悟の「旦那には釘刺しとかないとねィ…」と言うよくわからない理由で直接挨拶をしに来た



コンコン

「旦那ーそろそろ出て来ないとバズーカぶっ放しやすぜ。あと10秒後に玄関にでっけぇ風穴の誕生でさァ」



こんな寒い中玄関に風穴開けられるなんて銀ちゃん達可哀相…
総悟が脅しをかけるとバタバタと誰かが廊下を走る音がしてガラッと戸が開けられた



「よ、よう」

「なんでィ旦那いるんじゃねぇですかィ」

「ほ、ほらアレ!アレだ!寝てたんだよ!」



そう言う銀ちゃんは冷や汗をかいている
大方総悟が銀ちゃんに関わるとめんどくさいことに巻き込まれるので居留守でもしてたんだろう



「名前いらっしゃい」

「こんにちは!」

「お邪魔しやす」



総悟は私の手を引いてズカズカと万事屋に上がり込んだ
居間にはソファーに座ってお茶を飲む新八くんと寝転がってテレビを観ている神楽ちゃんがいた



「げっ!サド野郎何しに来たネ!名前ちゃんいらっしゃいアル」

「うるせーチャイナ!テメーに用はないんでさァ!」

「沖田さん、名前さんこんにちは」

「こんにちは新八くん」

「ところで名前と総一郎くんは何しに来たの」



ボリボリと頭を掻きながら遅れてやってきた銀ちゃんはめんどくさそうに訊いた



「総悟でさァ…まぁ旦那も座んなせェ」

「いや、ここ俺ん家だから」



ブツブツ文句を言いながら神楽ちゃん達がいる方のソファーに座る銀ちゃん
流石に三人も座るときつそうだ



「今日は報告があって来やした」

「何?とうとう大串くんが死んで副長になった?」

「残念ながらその報告はもう少し先になりそうでさァ」



総悟は残念そうに言うと新八くんが出してくれたお茶を飲んで一息ついた



「実は…」

「「「実は?」」」

「俺達結婚しやす」

「「「………は?」」」



万事屋トリオは息ピッタリのリアクションを見せた
そして銀ちゃんの顔はみるみる青ざめていった



「結、婚…?」

「結婚」

「誰と誰が?」

「俺と名前が」

「…総一郎くんと名前が何って?」

「だから結婚」

「い、嫌だぁぁぁぁあっ!!!」

「おめでとうございます!式はいつですか?」

「一週間後よ、新八くん来てくれる?」

「もちろんですよ!あ。姉上も連れて行ってあげてもいいですか?」

「もちろんよ!妙ちゃんには後で報告に行くわ」

「名前考え直すアル!こんなサド野郎と結婚したら名前が泣かされるのが目に見えてるネ!」

「あ?なんだとチャイナこら」

「そうだぜ名前!総一郎くんより俺のがいい男だから!」

「銀ちゃん金もないしぐうたらだしマダオだけどサド野郎より断絶マシヨ!」

「もう神楽ちゃんも銀さんも何言ってるんですか!名前さんと沖田さんはずっと付き合ってたんだしいいじゃないですか!」

「おぉ!たまにはいいこと言うじゃねぇかダメガネ」

「あれ、なんで僕この人のフォローしたのにけなされてるんだろう」

「とにかく名前はもうこれで完全に俺のでさァ手ぇ出さねぇでくだせェよ、旦那」



これは夢これは夢これは夢、ですよね?


(嫌だァァァァア!!!)
(目を醒ますネ名前!)
(僕と二歳しか変わらないのに結婚かー…)

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -