「総悟、総悟」

「ん?」

「24日お休み?」

「…残念ながら仕事でさァ25日が無理なら24日は、と思ったんだけどねィ」

「そっか…」



残念そうにしている総悟には悪いけど万事屋にケーキ(ついでにクッキー)作りに行くからよかった


「ん、すまねェ(ちゅっ)」

「う、うん…」


俯いて考えていたら瞼にちゅっとキスをされた
なんかこの雰囲気で言いにくいなぁ…



「あのね…私24日と25日お休みなんだけど、その…24日出掛けてくる、ね?」

「は?」



24日はもとからお休みだった
そこに女中の先輩達が気を効かせてくれて「新婚なんだし二人共なかなか休みないんだから25日は休んでラブラブしな!私達からのクリスマスプレゼントだよ!」と言ってくれた
総悟は仕事だけど



「出掛けるってどこに…」

「な、内緒!」

「内緒ねぇ〜」

「ね、総悟はお仕事頑張って!25日に早く仕事あがれる様にするんでしょ?」

「まぁ、いいか(俺もプレゼント買いに行きたいし)」



意外だ!何かすんなりいった!
もっとぐずったり行き先を問い詰めて来るかと思ったのに!



「ナンパと攘夷の奴らと変態とマヨと天パには気をつけろよ」

「マヨと天パは大丈夫だと思いますよ」

「とにかく危なくなったら相手の玉蹴りなせェあれマジでいてぇから」

「わ、わかった」



護身術を私に教え込もうとする総悟をなんとか落ち着かせてその日は眠りについた


――24日



「名前ちゃん出来たかー?」

「んーまだ焼き終わってすらないよー」



お昼から万事屋に押しかけて台所を占領させてもらっている
お礼として昼食を作ることを命じられたので簡単なものを作ると三人共凄まじい勢いで食べてくれた
この人達の普段の食生活が気になります。



焼けたスポンジを取り出して次に色々な形にくり抜かれたクッキーを入れて時間をセットする
取り出したスポンジは暫く冷まして生クリームを塗って飾り付けをする
ケーキとクッキーを同時に作ろうとしたのは間違いだった
2つを同時に作るのは思った以上に大変だった



「名前さん出来ました?」

「もうちょっとだよー」



三人共妙に台所を覗きにくる
新八くんと神楽ちゃんは銀ちゃん以外がお菓子を作ってるところが珍しくて見たいらしい
銀ちゃんは私がちゃんと作れるか心配らしい
これでも簡単なお菓子なら綺麗に作れるんだからね!



「出来たー!」

「「「おー!」」」



時間はかかったけどなんとかクッキーとケーキを作り終えた
因みに台所を貸してくれたお礼として万事屋トリオのクッキーは真選組の皆より数枚多い



「はい、神楽ちゃん!一日早いけどクリスマスプレゼント」

「わあいっ!ありがとうアル!私も名前にクリスマスプレゼントあげるヨ!酢昆布!」

「いやいや酢昆布とか要らないでしょ!?」

「黙れダメガネ!」

「ありがとう神楽ちゃん!新八くんもはいっ!妙ちゃんにも渡しといてくれる?」

「はいっ!ありがとうございます!すみません僕何にも用意してなくて…」

「いいのいいの!気にしないで!銀ちゃんも台所貸してくれてありがとう」

「おーありがとうーまぁほら、俺万事屋だから困ったことがあればいつでも頼ってくれて構わないからいつでも来いよ」

「ふふ、ありがとう」



銀ちゃんに貰ったケーキを入れる箱(なんでこんなの持ってるの)にケーキを入れて、クッキーと一緒に大事に真選組まで持ち帰った
あらかじめ先輩達にケーキの話はしていたのでケーキなんてかさ張るのに先輩達は快く冷蔵庫に保存させてくれた
クッキーを近藤さん達に配ると凄く喜んでくれた



「はぁ…今日も一日疲れたぜ」

「今日はちゃんとお仕事した?」

「土方抹殺に励みやした」

「ちょっ、ちゃんと仕事しようよ!」

「へいへい」

「いつか給料カットされちゃうと思うよ」

「そしたら一緒に路頭に迷いやしょう」

「ヤダよ」

「名前は今日一日どうしてたんでさァ」

「ん?今日はね出掛けて、皆に配るクッキー作って渡したりしてたかな」

「またクッキー作ったのかよ…毎年あんな奴らに作らなくていいって言ってんだろィ」

「んーでも友達としてのクリスマスプレゼントだし近藤さん達には総悟も私もお世話になってるわけだし…」

「わかってるけど…あー!!ヤダヤダヤダヤダ!!名前の手作りクッキーがむさ苦しい奴らに食われるのかと思うと腹立ちまさァ!土方さんなんか絶対味もわかんねぇくらいマヨかけまくってるにちげーねぇ!」

「土方さんマヨラーだからねー」

「そういう問題じゃねぇだろ!マヨネーズぶっかけて犬の餌にしちまうくらいなら俺に食わせろってんでィ!」



総悟はぷんぷんと怒ったまま正面から私に抱き着いてきた



「名前、ちゅうしてくだせェ」

「怒ってたんじゃないの?」

「怒ってるぜ、毎年俺だけクッキー貰えねぇんでさァ」

「んー…」

「俺以外のにやるの我慢してやってんでィだから代わりにちゅうしなせェ」

「えー」

「ほら早く」

「うぇーじゃあ目ぇ閉じて」

「えー」

「えーじゃないよ閉じてくれないならちゅうしない」

「ヤダ」

「じゃあ閉じて」

「ん!」

「ふふふっ(ちゅっ)」

「………ディープがよかった」

「ヤダよ恥ずかしい」

「えーじゃあえっちしやしょう」

「え、なんでそうなんの?」

「なんかぞくぞくするんでさァ」

「風邪じゃない?」

「いや違うから。えっちしたい」

「……。総悟耳貸して」

「なんでィ」

「ねぇ総悟――…よ」

「!」

「はいっもう今日はお休みー」

「あっ!待ちなせェ!」



そのあとは二人で布団に入って暫くじゃれてから大人しく寝た
総悟の体温が心地よくてぎゅっと抱き着いたまま眠りに落ちた



お前を抱きまくらにしてやろうか!


ねぇ総悟、全部明日になったらサンタさんが叶えてくれるよ

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テーマ「人外ファンタジー」
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