「……何でてめーがうち(真選組)に居るんだ」



真選組の隊士達が集まる部屋の障子を開けると何故か万事屋の野郎と眼鏡が居て総悟と山崎と近藤さんと一緒に酒を呑んでいた



「だからなんで万事屋がここで酒なんか呑んでんだって訊いてんだよ」

「いやね、名前達は志村ん家でガールズトーク繰り広げてるだろうから俺も誰かとボーイズトークでもしてみようかと思いましてねィ、それで暇そうな旦那達に声かけたんでさァ」

「俺は沖田くんがタダ酒呑ませてくれるっつーんで来ただけだし」

「僕は姉上に今日は志村家は男子禁制だからって追い出されちゃいまして…」

「俺は隊長に強制参加させられて」

「丁度いいや、土方さんも参加しなせェ」

「あのなー俺はお前らと違って忙し…」

「まぁまぁトシ!たまには男だけで語り合うのもいいじゃないか!」



そう言って近藤さんは俺の腕を引っ張って無理矢理座らせた
え、ちょっと待って、俺まだ部屋戻って仕事しなきゃなんねぇんだけど…



「えーと…なんの話してましたっけ?」

「あーあれだよ、隊長達の…」

「そうだそうだ、で?沖田くん達もうゴム無しでヤってんだろ?」

「ぶはっ!!」

「どうした!?トシ!?」



な、なんつー話してんだこいつら!
総悟達の夜の事情なんざ聞きたかねぇよ!もう名前の顔まともに見れなくなっちまうだろ!



「おいおい多串くーん、いやだねーこれだからむっつりは」

「なっ!ば、おまっ、ち、ちげーよ!!」

「どうだかねィ…話戻しますけどゴム有りでさァ」

「え!?なんで!?せっかく結婚したのに!?」

「あー餓鬼はまだいらねぇんでね」

「総悟はまだ名前ちゃんに甘えたいんだよな!」

「…まぁそんな感じでさァ」

「はーん、そんなもんかねー」

「他になんか質問ありやすかィ?」



お前がただ惚気たいだけだろ
ボーイズトークなら周りの奴の話も聞いてやれよ
とくに志村と山崎なんかこの手の話についてけねぇのか空気と化してるぞ
近藤さんも今は酒が入ってるからノってるがシラフのときにこんな話してみろ、鼻血噴いて倒れんぞ



と、一人ちびちび酒を呑みながら思っていたら突然空気山崎が喋り出した



「気のせいかも知れないんですけど、名前ちゃんってよく隊長の名前呼びませんか?」

「ほー…ザキにしては良いとこに気づいたねェ」



総悟は山崎を見据えてニヤッと笑った
そう言われれば名前はよく総悟、総悟と名前を呼んでいるような気がする



「名前はねィ初めは小せェ団子屋で働いてた町娘だったんでさァその頃はまだ沖田さんって呼ばれてやした」



おいおい何か昔話始めちゃったんですけど
山崎は名前がなんでよく総悟の名前呼ぶか訊いただけなんですけど
だいたい名前が町娘だった頃ってテメーまだ付き合ってなかっただろうが



「それでね、女中になってくだせェって頼んでもなかなか首を縦に振ってくれなくてねィ…そりゃもう苦労しやしたよ。それに何度名前で呼んでくれって頼んでも沖田さんから沖田くんに変わっただけでした」



…だからなんなんだ
ねぇもう俺これ部屋戻っていい?
志村寝てるし誰も聞いてないんじゃねぇ?
近藤さんと山崎は聞いてるみたいだけど万事屋なんか酒呑んでばっかだし聞いてなくない?
あ、近藤さん寝た



「でね、やっと名前を口説き落として付き合いだしたし女中にもなってくれたし、君付けだったけど総悟くんって呼んでくれる様にもなったんでさァ。なのに…」



そこまで言うと総悟はコップに入ってた酒を呑み干して、その頃を思い出しているのか視線を床に落とし優しく笑った




「付き合い出した頃からそうなんですけど…結婚した今でも名前は恥ずかしがって愛してるなんてあんまり言ってくれねぇんでさァ

だから俺は付き合い出した頃に無理矢理約束したんでさァ

俺は名前に愛してるって沢山言ってやるって、安売りしてるわけじゃないですぜ?

それでね、名前は愛してるって言う代わりに俺の名前を沢山呼んでくだせェ、それが愛してるの変わりだからって、だから名前は俺の名前を沢山呼ぶんでさァ」

「へーそんな約束してたんですかー」



山崎は一応応える物の心底どうでも良さそうな顔をしている
ぶっちゃけ俺も心底どうでもいい
たぶん万事屋の野郎もそう思っている
そしてその心底どうでもいい話をした張本人は空になった酒瓶を抱え込むと、ゴロンと畳に寝転んだ



「あへっ!名前可愛いでさァ!早く逢いたいぃ」



寝転がったままよく分からない叫び声をあげると総悟は酒瓶を抱き枕に寝てしまった



「…なんて言うか」

「俺ら沖田くんの惚気聞かされただけじゃね?」



ゆめをみましょう、深すぎる恋に溺れたら


夢の中でも君に溺れる

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