大会当日
坂田くんの活躍っぷりは群を抜いていた


「す、すげー…あれが"白夜叉"」

「つえー…」


各校から坂田くんに対する色んな声が聞こえてきた
団体戦は銀高と金高が当たった
勝利したのは銀高
トシも部長も沖田くんも山崎くんも悔しがっていた
そして今は個人戦の決勝戦
戦っているのは坂田くんとトシ
二人共凄い気迫でギャラリー達も息を飲んで二人の試合を見ている


あの日の様にトシが少し押されている
あの時と違うのは私が坂田くんばかり見ていること
私は金高の生徒だからトシを応援しなきゃいけないのに…私は心の中で坂田くんを応援している自分がいる


「一本!勝者、銀魂高校坂田!」

「…くそっ!!」

「っしゃあッ!!」


坂田くんが勝った途端
会場が割れんばかりの歓声で溢れかえった


「トシ…」

「トシ、お前はよくやった」

「あの白夜叉に負けたとはいえ互角に戦ったんでさァ大したもんだ」

「お疲れ様です副部長」


部長がトシの頭にタオルをかけて頭を掴んだ
山崎くんはドリンクを持ってトシに駆け寄った
沖田くんはトシの健闘を讃えている


「終わったんだ…」

「トシ…」

「俺と近藤さんと山崎は今日が最後の試合だったんだ…!!俺達は全国に行けなかったッ!!俺達は負けた…」


トシが少し泣いていた
山崎くんも泣いていた
近藤さんは泣きながらトシをガッと抱きしめた
沖田くんは何も言わないけれど手の色が変わるくらい拳を握りしめていた


「総悟…あとはお前に任せた」

「…はいっ!」


トシは真っ直ぐ沖田くんを見つめて次の部長、沖田くんに全てを託した


「苗字さん」

「坂田くん…」


後ろを振り向くと汗を流している坂田くんがいた


「名前、行ってこい」

「でも…」

「俺らのことは気にすんな。今年は負けたけど来年は総悟が部長だ。こいつが銀高なんかに負けるわけがねぇ」

「土方さんは温いんでさァ来年こそは捻り潰してやりまさァ」


トシと沖田くんがニヤッと笑うと坂田くんもニヤッと笑った


「いつの時代も銀高が最強に決まってんだろ」

「ハッ、言ってろ」

「名前ちゃん、俺達は先にバスに乗ってるからな」

「早くしねぇと置いてきやすよ」

「じゃあまたあとでね」


トシ達は私と坂田くんを残して先に行ってしまった


「場所変えようぜ」

「うん…」


場所を変えて会場の裏側
みんなは表側にいるから裏側は表のざわめきが少し聞こえるくらいで他の雑音は聞こえなかった


「あのさー…」

「うん」

「薄々気付いてるかもしんねぇけど…そのー」


坂田くんは少し顔を赤くして私から目を逸らしている
私も坂田くんの顔をまじまじとは見れなくて自分の足のつま先を見ていた


「苗字さん」

「はい」

「名前…」


ドキッとした
坂田くんの口からこぼれ落ちた自分の名前が知らない人の名前の様に聞こえた


「好きだ」


坂田くんの低い声が私の耳に届いた


「好きだ、初めてあったときからずっと好きだった」


真っ直ぐ私を見つめる坂田くんの紅い目を綺麗だなと思う


「坂田くん…

好きだよ」

「え…」

「いつからかはわからない。いつから坂田くんを好きになったのかはわからないけど今は好…」


私の台詞は最後まで言わせてもらえず気付いたら私は坂田くんの腕の中にいた


「さ、坂田く…」

「ごめん…俺今すっげー顔赤いと思うから見ないで」


そう言って私の肩に頭を置く坂田くんの体は凄く熱かった
私はそんな坂田くんの背中に腕を回してギュッと抱きしめた


「坂田くん、」

「何?」

「汗臭い」

「…それも俺の匂いだろ」

「ふふふ、そうだね」






END


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -