金高の奴らがいなくなって早三日
銀時は人が変わった様に毎日真剣に練習をしている


「高杉!お前も練習せんか!大会までもう一週間を切ったんだぞ!」

「だぁあっ!もうっうっせぇなハゲ」

「ハゲではない!ヅラだ!あ、間違えた桂だ!」

「うぜぇ!!死ね!あっち行けよ!」


ヅラはプンプン怒りながら坂本と銀時の元に行った


「高杉くん」

「あ?苗字?」


体育館の入口から顔を覗かせたのはいるはずのない苗字だった


「どうしたんだよ、銀時か?」

「ううん、違うの。うちの顧問から松陽先生にお使い頼まれて…練習してるかなって思ってちょっと体育館に寄ってみた」

「ふーん」

「はい、差し入れ」


苗字は抱えていた空き缶を俺に差し出した
苺ミルクと緑茶とコーラとサイダー


「高杉くん達が何が好きかわかんなかったからイメージで買って来た」

「俺コーラ」

「ふふ、だと思った」

「ヅラは緑茶か」

「坂本くんはサイダー好き?」

「まぁ好きなんじゃねぇ?つーかお前銀時の好きなもんは分かるんだな」

「遊園地に行ったときに好きだって言いながら凄く飲んでたから」

「あっそ」

「あのね、高杉くん」

「あ?」


苗字は体育館の壁に背を預けて座る俺の横にしゃがんだ


「坂田くんにね」

「んあ?」

「27日…待ってるからって伝えて欲しいの」

「27日?大会の日か…なんかあんのか?」

「内緒」

「なんだそれ」


苗字は小さく笑うとスカートの埃を払いながら立ち上がった


「じゃあね」

「銀時に会わねぇのか?」

「うん」


苗字は本当に銀時に会わずに帰って行った
タイミングがいいのか悪いのか銀時がスポーツドリンクを飲みに俺の横に来た


「真面目にやってんな」

「おう、大会近いからな」

「今まで大会近かろーが遊んでた奴がよく言うよ」

「練習しろとは言わねぇけどお前も大会で負けたりすんなよ。個人戦だけじゃなくて団体戦も勝つ気だから」

「俺様が負けるかよ」

「俺だって負けねぇよ」

「まぁどうでもいいけどよ、ん、銀時に差し入れ」

「おっ!苺ミルクじゃん!サンキュー」


銀時はプルタブを開けるとゴクゴクと喉を流しながら飲んだ
俺なら喉渇いてんのに苺ミルクは飲みたくねぇ


「因みにそれ苗字からの差し入れ」

「ぶっ!!」

「きたねぇな〜…」

「おまっ…!苗字さん来てたのかよ!?」

「さっきまでそこに居た。『27日に待ってる』って伝えてくれって頼まれた」

「………。」


銀時は黙り込んで空き缶をギュッと握りしめた
俺にはなんのことだかよくわかんねぇけど苗字と銀時の大事な約束なんだろう


「っし!高杉!練習すんぞ!」

「はぁ!?俺も!?」

「あたりめーだ!お前団体戦負けたりしたらシバき倒すからな!」

「テメーさっきと言ってることが違うじゃねぇか!」

「貴様ら!!いい加減練習に戻れ!!」



決戦はもうすぐ


100427

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -