銀時の様子がおかしい
朝からずっとボーっとしている
遊園地に行って来て楽しかったんじゃないのか?


「おいっクソ天パ」

「…あぁ、なんだお前らか」

「どうしたんだ?今は部活中だぞ。しっかりしろ」

「うっせぇ」

「なんかあったがか?」


坂本が心配そうに訊くと銀時は眉を寄せて難しい顔をしながら黙り込んだ
普段脳天気な坂本がこう真面目になるのが俺達には一番効く
心配させていると嫌でも分かるからだ
それを分かっている坂本はいつも誰かに何かがあったときは責めずに優しく問い掛けるのだ


「金高の体育館、もうすぐ直るらしいぜ」

「…あぁ、昨日沖田から聞いた」

「そうか」

「落ち込まずとも苗字さんにはいつでも会えるだろう?」

「なんちゃーじゃ永遠の別れになるわけがやない」

「わかってんだけどよー…なんつーか好きな子が隣町に引っ越してっちまう気分っつーか」

「…よくわかんねぇぞ」

「毎日会えてたのが無くなるんだ。会いに行こうと思えば全然会いに行ける距離なのにもう苗字さんとここで、この体育館で会うことはねぇんだな」

「お前が苗字さんに会いに行けばいいだけの話だろう」

「まぁな、けどよ、苗字さんは俺に会いに来てくれねぇだろうし、たぶん俺から会いに行かねーと俺らは疎遠になんだろうなぁとか思うとちょっとな…」

「銀時…」

「あぁっ!!もうっ辛気くせぇ!!」

「た、高杉?」


高杉は自分の頭をガシガシと掻いてから床に座って胡座をかく銀時の股間を踏み付けた


「…〜ッ!!」

「い、痛かー…」

「ちょ、高杉何やってんの!」

「うぜえんだよテメー!!会える距離にいんだからテメーから会いに行きゃあいいだろうが!苗字はお前のこと好きじゃねぇんだからお前に会いに来なくて当然だろうがボケ!苗字が好きならうじうじしてねぇでさっさと告白しろ腐れ天然パーマ!!」

「し、晋ちゃん…」


銀時は股間を抑え涙目になりながら鼻息の荒い高杉を見上げた


「だからって股間踏むこたあないだろ…」


銀時は消え入りそうな声で訴えた


「俺様からの激励だ」

「馬鹿じゃねぇのかお前」

「あぁ!?」

「どうどう、落ち着きんしゃい」

「マジで青くせー」


そんなことを言いつつ銀時がやっと笑った
うん、どこの青春漫画だって感じだがまあこういうのもたまには悪くないだろう


「ところでおんしゃら」

「んだよ」

「さっき高杉が苗字さんについて色々叫んどったが本人には聞こえちょったりはせんがか?」


坂本が放った言葉に俺達は固まった


「……たーかーすーぎィィィイッ!!!」

「うるせぇ!うじうじしてるテメーがわりぃんだろ!」


元気になった銀時とぎゃあぎゃあ騒ぐ奴らを放って俺は金高の奴らが練習をしているスペースまで来た


「苗字さん、苗字さん」

「あ、桂くん!どうかしたの?」

「いや、さっき高杉が何か叫んでいたのは知っているか?」

「え?さぁ…わかんないなー私さっきまで沖田くんに頼まれて焼きそばパン買いに行ってたから」


そういう苗字さんの手には確かに焼きそばパンが握られていた


「それがどうかしたの?」

「あ、いや、聞こえていなかったのならいいんだ」

「えー何ー?気になるなぁ」

「ははは、また今度な」


 
君に捧げる告白


それはまたいつか銀時の口から直接聞いてくれ


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