流石に男6人で観覧車に乗るわけにはいかず、俺達はベンチに座って名前ちゃん達が出て来るのを待った


「ぶっちゃけ名前ちゃんって坂田に気があるのかな…」

「突然何を言い出すんだ」

「いや、名前ちゃん彼氏とかいないし好きな人の話とかも聞かないし」

「だからって坂田はありえないだろィ」

「でも最近は坂田の話をよくしてますよ?坂田からメールきたら嬉しそうだし」

「それマジかよジミー」

「山崎です」

「銀時と苗字さんが上手くいったらいいとわしは思う」

「その方が銀時も大人しいしな」

「銀時はベタ惚れみてぇだしな」

「でもこれからは会える時間も減りまさァ」

「あ?どういうことだ」

「あれ?知らないんですかィ?あと三日程でうちの体育館直るらしいんでさァ」

「は?」

「初耳ぜよ」

「お前達知らなかったのか」

「ヅラァ!」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「言ってなかったっけじゃねぇよ!銀時が間際になって知ったりしたらかなり落ち込むぞ!」

「で、でもほら!二度と会えなくなるわけじゃないし!」

「あのな〜…あいつは毎日放課後になると苗字に会えることに幸せ感じてたんだぞ」

「わかってたことだろィ?」

「あ?」

「遅かれ早かれ壁が直れば俺達が銀高の体育館に行く必要が無くなるのはわかってたことだ」


沖田さんがそう言うと高杉も桂も坂本も黙ってしまった
仲間思いな奴らだな
けど沖田さんが言っていることは正しい


「それに…」

「それに?」

「苗字がもう言ってると思いやす」

「なんでそんなことがわかるんだよ」

「勘でさァ」


沖田さんは観覧車を見上げてから持っていた空のジュースの空き缶をごみ箱に投げ捨てた


「さ、俺らは帰りやしょうか」

「え、副部長はいいんですか?」

「ヤツは栗子が苦手だし手を出すことはねぇだろうからねィ。何より尾行するのに飽きやした」

「まぁトシが非道なマネをするとは思えんしな」

「はぁ…一体今日一日何やってたんだか」

「じゃ、お先に失礼しやす」


俺達は三人を残して先に遊園地を出た


「それにしてもなんだか可哀相ですね」

「はぁ?」

「いや、二度と会えないわけじゃないけど好きな人に毎日会えてたのが無くなるってやっぱり悲しいですよ」

「…会いたきゃ坂田が金高に来ればいいだろ。本当に好きならそいつがどこに居ても関係ねぇ、毎日会えなくても、気持ちは変わらないはずでさァ」

「そりゃあそうですけど…」


高校生なんて大人に近いとはいえまだガキなんだ
それなのにあそこまで人を好きになれる坂田が俺はどこか羨ましく感じる
名前ちゃんと坂田って意外に似合ってるのかも知れないな


「上手くいくといいな…」


俺の小さな呟きはきっと近藤さんにも沖田さんにも聞こえただろうが、二人は微笑んだだけで何も言わなかった


end



遊園地編終了です
わかりにくいけど金高メンバーも応援してるんですよ!


100427

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