「チビ杉チビ杉チビ杉チビ杉チビ杉チビ杉…」
「こえーよ!!なんだよお前さっきから!!!」
「だぁーーっ!!もうマジありえねぇ!!毛玉もチビ杉もマジありえねぇ!なに俺より先にメアド訊いてくれちゃってんの!なに俺より先に苗字さんとデートしちゃってんの!」
「テメーが自分から動かねぇからわりぃんだろうが」
「同感じゃ」
「銀時、ここは一つ自分から苗字さんをデートに誘ってみてはどうだ?」
「はぁ!?無理無理無理無理!俺マダオだから!ヘタレだから!」
「自分で言ったよコイツ」
「しかし早くしないと金高の工事も終わってしまい逢うチャンスがなくなってしまうぞ」
「そりゃそうだけど…」
こいつらはそんな簡単に言うけど、適当な恋愛しかしてこなかった俺には本気で好きになっちまった子にはどう接していいのか分からず、苗字さんに話しかけるだけで身体中の血液が顔に集まって恥ずかしさで爆発しちまいそうになる
そんな俺がデートに誘える分けがない
「いいのか?銀時」
「何が」
ニヤニヤと高杉が俺にのしかかる様に肩を組んできた
ちっせぇんだから無理するなよ…
「苗字の私服姿は可愛いかったぜ?本物は見れずに写真だけとは勿体ねぇなー…しかも他の男とツーショット」
「ぐっ…!てか他の男ってオメーだろうが!」
「テメーどうせ俺が当て付けで送ってやったあの写メ保存してんだろ」
「………………。」
そりゃあ、保存してますとも
どうにかあのツーショットを苗字さんだけに出来ないかっとヅラに相談して、知恵を出してもらった結果、写メを編集して高杉の部分を切って苗字さんが写ってる部分だけ保存しちゃってますよ(苗字さんの肩を抱いてる高杉の手は写ってるが…)
「お前苗字の写メ保存してオカズにでもしてんのかよ」
「ばっ…!!!そんなことしねぇよ!!!何この頭ん中ドッピンクな小さい子!!」
「あん?小さい子ってなんだコラ」
「金時…おんしゃそげなことしちゅうか……」
「違う!違うから!やってないから!!!」
「俺に写メを見せに来て高杉を切れないかと相談してきたのも苗字さんだけを見て良からぬことをしたかったからなのか……お母さん悲しい!!!」
「お前みてーな母ちゃん知らねーよ!!!じゃなくて良からぬことなんかしてないから!!しないから!!」
「てか写メ見て一人でするより本物に突っ込む方がぜってーいいだろ」
「高杉ィィィィイ!!!!テメー何言葉で苗字さんのこと汚してくれとんじゃコラァァァァア!!!!」
「言葉で汚すって意味わかんねぇよ」
そんな苗字さんをオカズにとか絶対できねぇよ!俺にとったら苗字さんは汚れのない天使みたいな存在なんだよコノヤロー
苗字さんとそんな関係になれてそんなこと出来たら死んでもいいくれぇだけど、まだ付き合ってもねぇのにそんな!!そんな…!!!
「苗字はスタイルいいからな猿飛よりは胸小せーけど」
「もうマジでやめて!!!300円あげるから!!これ以上苗字さんをいやらしい目で見ないで!!」
「私がどうかした?」
「!」
鈴の様に澄んだ可愛いらしい声が聞こえて振り向けば、苗字さんがくりくりしたおっきな目で俺を見上げていた。可愛いなオイ
「な、なんでもねぇよ」
「そう?」
「うん!絶対何にもないから!!」
「え、うん。あ!あのねトシが練習の相手して欲しいらしいんだけど…」
「へ?」
「坂田くん達がいつまでも練習始めないからトシ、キレちゃって…真面目に練習やらないんなら一回負かして泣かせてやる!って言って聞かないの」
「はぁ〜…うぜーなーあのマヨラーこっちにだって色々あんだっつーの」
「ごめんね」
うつ向いてしゅんとする苗字さんを見てキュンとなった
あーもー可愛いなー
「銀時お前やれよ」
「はぁ!?俺!?ヤダよ!俺、汗かきたくねぇーし胴着臭くなるし」
俺が文句を垂れると三人は肩を組んできて苗字さんから少し離れヒソヒソと小声で苗字さんには聞こえないように俺に話してきた
「お前ここで土方負かしてみろ、坂田くんかっこいいー!ってなんだろうが」
「だって相手はあの土方だぜ?一年の時に都大会に出場して個人戦優勝したような奴だぞ」
「貴様は一年にして全国大会に出場したような奴ではないか」
「あの時俺優勝してねぇし」
「白夜叉の名が廃るろー」
白夜叉とか勝手に他の奴らが付けただけじゃねぇか
俺はチラッと振り返り苗字さんを見た
土方を負かしたら…
苗字さんはきっと、土方が負けるとこなんざあんまり見たことねぇだろう
いつも苗字さんの隣に居て偉そうにふん反り返っている土方を負かしたら…
苗字さんが土方でなく俺の活躍を見てくれたら…
俺は三人から離れ苗字さんの前に立った
「苗字さん…」
「なあに?坂田くん」
坂田銀時やります!
(ほんとー!じゃあトシに言ってくるね!)
(おう!)
(((単純な奴…)))
090406