お通ちゃんのファンクラブ勝負(?)に行っていた副長達が帰って来た
休憩していた私は副長達が集まる部屋に駆けて行って勢いよく障子を開けた



「退!お帰り!」

「あ、名前…」

「あ、…え?…あ…うぇ?…え、はぁ?」



誰だコイツ
副長と沖田さんの隣に座るコイツ、誰
私の彼氏の山崎退がいないんですけど
ちょっと前髪長い垂れ目な彼がいないんですけど



障子を開けたまま固まる私にモヒカンは声をかけた



「た、ただいま……」

「名前も座りなせェ、俺達の活躍話聞かせてやらァ」

「オメーはなんもしてねぇだろうが!」

「すまんが名前ちゃん、お茶煎れてきてくれない?」

「い…」

「「「「い?」」」」

「いやぁぁぁあっ!!!!」



私はその場にがくっと膝をついた
だって、だって、だって…!!!
あのモヒカン野郎の声が退の声なんだもん!
間違いなく退だよあのモヒカンバカ!
私の彼氏だよ!あのモヒカンバカ!



「ななななんで退の頭そんなことなっちゃったんですか!?ちょっとうざいくらいの髪の長さの退はどこにいっちゃったんですか!!何その頭!なんでモヒカン!?イメチェンにしてももっと違う髪型があるでしょ!?誰ですか!?退にモヒカンさせたの!ちょ、も、まっ、モヒカンバカ!!」

「ちょ、名前…」

「なんなんだお前は。障子開けた途端叫ぶし喚くし…落ち着けよ」

「名前、もうあの髪の長さの山崎は居やせん、イメチェンじゃなくて一皮剥けて成長したんでさァ」

「成長!?どこが!?むしろ劣化してんじゃん!可哀相なことになってんじゃん!取り返しつかないよコレ!」

「因みに山崎をモヒカンにしたのは万事屋の旦那でさァ」

「万事屋マジぶっ殺す!」

「待て待て待て待て待て!その手に持ってる刀をしまえ!」



部屋を出ようとしていた私を止めた副長に私は逆に掴みかかった



「なんで止めてくれなかったんですか!副長は私の退がこんな可哀相な頭になるのただ黙って見てたんですか!?あぁん!?」

「私の退って…おぶっ!おま、苦しっ…」

「ちょ、名前、落ち着いて…」

「お前もお前だよ!なに、黙ってモヒカンにされちゃってんの!?バカですか!?モヒカンバカですか!?」

「俺だって抵抗したけど相手はあの万事屋の旦那だぞ!?」

「お前は警察だろうがぁぁぁあっ!!なんで一般市民に負けちゃってんの!」

「いてっ!」



私は退のモヒカン(頭)にチョップをくらわせた



「別れる!」

「え…えぇっ!?ちょ、名前、えぇっ!?」

「彼氏がモヒカンなんてヤダ!街でデートすら出来ないよ!」

「デートしなきゃいいじゃねぇか」

「ぶっ殺すぞ土方コノヤロー」

「切腹しやがれコノヤロー」

「ちょっと待ってよ名前!あの、ほら、落ち着こう!」

「さっきから落ち着こう、落ち着こうって…落ち着けるわけないでしょ!彼氏の帰り待っててやっとその彼氏が帰って来たと思ったらモヒカンになってたんだよ!?モヒカンを彼氏に持つ彼女の気持ちが退に分かるの!?」

「マラソンの途中でモヒカンにされた彼氏の気持ちが分かる!?」

「分かるわけないでしょ!普通に生きててマラソンの途中でモヒカンにされることなんてないもん!」

「今ここにされた奴がいるでしょうが!」

「威張って言うことじゃないでしょ!」



別れはしなくても髪が生えるまで一緒に街を歩きたくない
手ぇ繋いで横に並んで歩きたくない
退には悪いけど恥ずかしい!
とにかくモヒカンが彼氏とか恥ずかしい!!



「名前と山崎別れるんですかィ?」

「別れます!」
「別れませんよ!」

「山崎と名前ちゃんはとりあえず落ち着きなさい」

「「黙れゴリラ」」

「あれ?今ゴリラって言った?ゴリラって言ったよね?…グスッ」

「泣くなゴリラさん」

「トシ今ゴリラさんって言わなかった?」

「山崎と名前はとりあえず座れ」

「トシ?無視?無視なのか?」



泣いてるゴリラは無視して土方さんと沖田さんの前に二人並んで座らされる



「あのなー…髪なんてまた生えてくんだろ」

「じゃあ聞きますけど退がモヒカンの間私はどうしたらいいんですか?」

「別に普通にしてたらいいんじゃないですかィ?」

「普通って何ですか?私にモヒカンと手ぇ繋いだりちゅうしたりしろって言うんですか?」

「いや、その辺は知りやせん。と云うか知りたくありやせん」

「だいたい髪型の一つや二つで別れるだなんだってお前は山崎のことをそんくらいしか愛してねぇのかよ?」

「そ、そうだよ!髪なんて生えてくるんだよ!?俺は名前のこと好きだから別れたくないし、なんだったら植毛でもなんでもするし!だから別れるなんて言わないで!」



そう言って捨てられた子犬の様な目で私を見てくる退
モヒカンだけど
私だってね、退のこと好きだよ愛してるよ
モヒカンだけど



「はぁ…分かった。私だって退が好きだから別れない」

「ホ、ホント!?」

「うん」

「ありがとう!名前大好き!」



そう言って退は私を抱きしめた
モヒカンだけど




だって好きだから!


(ただしモヒカンの間は手も繋がないしデートもしないしちゅうもしないから)
(えぇっ!?)




090730

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