総悟がいつも通りサボってくれやがったので、俺は一人歩いて市内見回りをしていた



「土方さんお誕生日おめでとうございます!」

「あ?お、おぉ…」

「あの!よかったらこれ貰って下さい!じゃ、じゃあ、失礼しますっ!」

「え、あ!おい!」

「土方さん私も!」

「あたしもコレ!」

「おい!ちょっと待て!おいっ!」




………一体何なんだ…
5月5日 こどもの日
俺にとっちゃ自分の誕生日
だがそれをさっきの無理矢理プレゼント押し付けて去った女三人組みたいな一般人が知っているはずがない
第一この歳になって誰かに祝ってもらいたいとかそんな気は無い
ましてや自分から誕生日だと言い出すなんてもっての他だ



「やっほートシ」

「!」

「見てたよー流石色男!」

「…お前自分の彼氏冷やかして楽しいかよ」

「べっつにぃー」



そう言うと名前は眉間に皺を寄せそっぽを向いてしまった
なんだコイツ
なんでこんな不機嫌なんだ



「なんだよお前機嫌わりぃな、何かあったのか?」

「うっさい喋んなプレゼント貰ってニヤニヤしてるようなマヨラーは黙っとけ」

「ニヤニヤなんてしてねぇよ!人が心配してやってんのに可愛くねぇやつだな!さっきの女共のがよっぽど可愛い気あるわ!」

「うっわ!最低!そんなこと言うんだこのニコ中野郎!肺の中真っ黒になって死ね!」

「なっ…!なんだよお前アレか?嫉妬か?嫉妬してんのか?さっきの女共に嫉妬してんのか?!」

「違うわよばーか!あんなことで嫉妬するほど心狭くありませんー!あんたどんだけ自分に自信あんのよ!」

「じゃあ何怒ってんだよ!」

「………………。」

「…お、おい、急に黙んなよ………」



困った。急に黙られると調子狂う


名前はじとっと下から俺を睨んでいる



「誕生日…」

「は?」

「…なんで今日誕生日って教えてくんなかったの」

「んだよそんなことかよ…別に誕生日くれぇどうでもいいだろうが、祝われなくてもいいし」



珍しく怒ってたから何事かと思えば誕生日とかそんなくだらねぇこと…


俺は煙草を口に加えると火をつけた
けれどその煙草は名前に頬を叩かれた所為で口から離してしまったため、一度も吸われることなく道に転がった




「…いってーな!何しやがんだ!」

「トシは何にもわかってない」

「はあ!?」

「誕生日はその人が生まれてきた大事な日なんだよ!?トシが生まれてきた大事な日なんだよ!?なんで大切な人の誕生日祝っちゃ駄目なのよ!」

「ちょ、とりあえず落ち着けよ」

「なんで彼女なのに教えてくんないのよ!」

「おい、名前…」

「う、うぇ…トシのばかぁ…ふっ…ヒック…」

「ちょ、おま…!泣くな!な?ほら、目ぇ赤くなるから擦んな」



道端で名前が大泣きするもんだから通行人が俺達を見ていたのでとりあえず名前の手を引っ張って人が来ない路地裏に連れて来た



「あのー…その、なんだ…悪かった…」

「…ッ、ホントに…わかって、る…?」

「あぁ…だから泣くな」

「う、うぅ〜…トシ大好きだよー…」

「うおっ!」



突然名前が俺の胸に顔を埋めてぎゅうぅっと抱き着いてきた
俺はそっと名前の背中に手を回して抱きしめてやる



「…隊服に鼻水付けんなよ」

「ぐすっ、ムードぶち壊しだよー…」



そっと顔を上げてお互いに見つめ合う



「トシ、お誕生日おめでとう」

「あぁ、」



名前の顔に手を添え名前に顔を近づけようとした途端スピーカーを持った男が現れて、



『あーこどもの日とか餓鬼くせぇ日が誕生日の真選組副長鬼の土方十四郎がこんな暗い路地裏で女と大人なことしようとしてるー』

「………………。」

「………………。」

『こどもの日とか餓鬼くせぇ日が誕生日の…』

「総悟ォォォォオ!!!!」






(私沖田くんが公園でスピーカー使って鬼の副長はこども日とか餓鬼くせぇ日が誕生日って言い回ってたから今日トシの誕生日って知ったのよね)
(総悟、テメーは全国のこども日に生まれた人に謝れ)
(土方さんが死んでくれるんなら謝りまさァ)
(なんでだァァァァア!!)




Happy Birthday土方さん!
なんだコレ萌えない(^p^)


090505


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