「あれ?みんな揃って何してるんですか?」

「名前たん!」
「名前ちゃん!」
「名前さん!」
「名前!」

「え、何ですか…みんなして…」



書類を局長室に持って来たら、中で大の男が四人も集まって困った顔をしていたので何をしているのかと問えば上から順に土方さん、近藤さん、山崎くん、総悟はこんな反応を示した



「てか土方さん『たん』って…」

「あぁ、またトッシーが現れたんでさァ」

「え、マジでか」

「困ったことに他の隊士はトッシーのこと知らないでしょ?だから副長にトッシーのまま頓所をうろうろされちゃ困るし……」

「だが俺らも仕事があるからトッシーにずっと付いてるわけにもイカン!それでどうしたもんかと三人で相談していたんだ」

「へー…っじゃ、書類届けたんで戻りますね頑張って下さい」

「ちょっとォォォオ!!!今の話聞いてたァァァァア!?俺ら困ってんの!助けてよ!」

「聞いてましたよ。ゴリラを助ける気はありませんから」

「いいじゃん!ちょっとくらい協力してくれたっていいじゃん!あれ?今ゴリラって言った?」

「やですよー!だって何故か私トッシーになつかれちゃっててトッシーと関わったら色々と大変なんです!」

「なつかれてんなら丁度いいでさァ土方さんが戻るまで名前がトッシーの子守り担当してくだせェ」

「おぉ!そうだな!それがいい!」

「名前さん面倒見がいいしトッシー任せても安心ですね!ね、トッシー名前さんならいいよね?」

「名前たんと一緒にDVD観たいでござる!」

「ちょっと!あんたらこそ話聞いてました?色々大変なんだってば!」

「いやー名前ちゃんがいてくれてよかったなー」

「おい、ゴリラ話聞けよ」

「ホントでさァ」

「ちょっと総悟…」

「いやーよかったよかった!」

「ちょ、やまざ……」



パタン



アハハハハハっと三人は笑いながら私とトッシーだけを残し局長室を出て行ってしまった
……あいつ等物凄い苦しい死に方して死ねばいいと思います。



「名前たん!僕の部屋に行って一緒にDVD観るでござる!」

「………う、うん…」



顔を輝かせてそんな嬉しそうに言われちゃ断れない



「トモエたん萌えーでござる!ね!名前たん!」

「そ、そうだね…」



何故私は仕事もせずに土方さんの部屋で美少女もののDVDを観ているのでしょうか
何故頭に猫耳が装着されているのでしょうか



「名前たんはやっぱり猫耳が似合うでござる!」

「アハハ…トッシーも黒猫の猫耳似合ってるよ」



そう褒めて(?)あげるとトッシーは恥ずかしいのか軽く頬を染めて少しうつ向いた
ちょっと可愛い………。



「名前たん!ゲームしよう!」

「ゲーム?まぁ別にいいけど…」

「普通にしてもつまらないから負けた方が勝った方の言うことをきくと言うのはどうでござるか!?」



いいよと言ってあげたいところだが、相手は土方さんでなくヲタク道を貫くトッシー
ヲタクに私みたいな普通の人が勝てるとは思えない



「嫌でござるか…?」

「よーし!やろうかー!」



私がそう言うとトッシーはパアァっと顔を輝かせていそいそとゲームの準備をしだした
だってあんな悲しそうな顔されちゃ断れない……。



『Game over!』

「ヤッター!勝ったでござる!」

「わートッシー強ーい(棒読み)」



いやいや勝てるわけないよ
あんな超高速でBボタン連打する人初めてみたよ
Bボタン凹むんじゃないかってくらい押してたよね
そんな人に勝てるわけないから



「名前たんの敗けだから僕の言うこと聞いてもらうでござるよ!」

「(…まぁ土方さんなら未だしもトッシーだから無理難題は言わないだろうな)」

「名前たん?」

「あぁ…ごめんごめん、私は何をしたらいいのかな?」

「あの、その…」



トッシーは正座して足の間に両手を挟み、顔をちょっと赤くしてもじもじしだした



「ひ、……」

「ひ?」

「ひひひひひひ」

「え、え?何?ひ?」

「ひ、膝…」

「膝?」

「膝枕して、ほしいで…ござる…」



トッシーは顔を真っ赤にして両手で顔を隠しながら、あー言っちゃった!とか言って騒いでいる



「か…」

「可愛いーーっ!!」

「名前たん!?」



トッシーが可愛くて胸に抱いてぎゅうっとしているとトッシーはわたわたしだした



「膝枕くらいいくらでもしてあげるよー!」

「ホントでござるか!?」

「うん!さ、おいで!」

「えへへー」



正座して膝をポンポンっと叩くとトッシーは嬉しそうにこてんっと膝に頭を乗せて横になった



「んー…名前たんイイ匂いでござる…」



トッシーは私のお腹にぎゅっと抱きついてきた



「なんだか…眠くなってきたでござる……」

「ん、寝てもいいよ」



トッシーの頭を撫でてあげると、だんだん目がトロンとしてきて瞼が完全に閉じれば小さな寝息が聞こえてきた
黙ってしまえば見た目は土方さんなわけで、土方さんだと思うと少しドキドキした



「なんか私も眠くなってきちゃった…」



部屋に差し込む日溜まりが暖かくて気持ちいい
トッシーも寝ちゃったし寝ちゃおうかな……―

































さっきまで山崎が書いた報告書を確認していたはずなのに気付いたらもう夕方になっていた



「…え?名前?」



何故コイツは俺の部屋にいるんだ?
そして何故俺はコイツの膝で寝てるんだ?
起き上がり頭を掻くと手に何か当たった



「猫耳……」



頭から猫耳を外して名前を見るとコイツの頭にも猫耳が付いていた
なんだこれは何がどうなってるんだ



「…ん、…ふふふ……」

「気持ちわりぃなー…」



名前は寝ながら幸せそうに口を緩めて笑った
幸せそうに笑う名前を見てたらなんだか起こすのも可哀想で、名前を引きっぱなしだった布団に寝かせ俺は静かに部屋を出た



後日、猫耳を付けて膝枕で寝る俺と名前の写真が総悟によって屯所中にバラまかれ俺がキレると云うのは、また別の話だ



end




28巻発売記念
トッシー成仏してね!


090404


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -