――或る国に双子の王子様が居りました
双子の王子様は二人共、隣の国のお姫様のことが大好きでした
また、隣の国のお姫様も双子の王子様のことが大好きでした
「姫ー」
「あ、ジルだー!こんにちわ」
「しししっ姫はいつ見てもかわいいな、けっこんしよう」
「はっ、ジルばかじゃねぇの?姫とけっこんするのはオレだし」
「あ、ベル。こんにちわー」
「はぁ?オレは天才だしバカはベルの方だろ、姫とけっこんするのは天才で王子であるジル様だし」
「うししっ王子はオレだし」
「ふたりともケンカしちゃだめだよっ!」
王子様達の仲は最悪でいつもお姫様を取り合いケンカばかりしていました
そしていつもそれを止めるのは二人が大好きなお姫様です
「わたしケンカする人キライ」
「(きゅんっ)」
目尻に一粒涙を浮かべながらふにゃっと笑った姫に王子様達は胸がきゅうっとなりました
「きょうはね、ジルとベルがわたしのおうち(城)に来たらコレわたそうと思ってたの」
「なに、コレ?」
「ブローチ…?」
お姫様が二人に渡したのは小さな薔薇のブローチでした
「コレね、わたしとおそろいなんだよー!」
「オレ黒がいいな」
「オレ白がいい」
「じゃあ、わたしはピンクだね!」
ジルは黒、ベルは白のブローチをお姫様の小さな手から受け取ると、お姫様と王子様は、それぞれブローチを自分の胸に付けて嬉しそうに笑いました
「えへへ」
「姫ありがとう」
「たいせつにする」
ジル王子は姫の左頬に、ベル王子は姫の右頬に同時に、ちゅっとキスをしました
「ふへへーちゅうされちゃったー」
「うししっ!ちゅうしちゃったー」
「しししっ!姫かわいいー」
「わたしもちゅうするー」
お姫様は順にジル王子とベル王子の頬にキスをしました
「しししっ!ちゅうされたー」
「ちゅうしちゃったー!」
「きょうはほっぺたあらったらもったいないなー」
お姫様は左手でジル王子の右手を握り、右手でベル王子の左手を握りました
「ジルもベルも、だぁいすき!」
ある国の王子様とお姫様
笑いながらお姫様を真ん中に仲良く手を繋いで歩く3人の胸には色違いの薔薇のブローチが輝いていました
end
幼少ジルベルとお姫様
090410