「チョウ…」

「なに?」

「ジョージは何が好きなんだろう……。」

「私が知るわけないでしょう、あなた好きな人の好きなものぐらい知ってなさいよ」

「そんなこと言ったってジョージと話したことなんか片手で数えられるくらいしかないのよ?私ジョージのこと何も知らないわ」

「自慢気に言うことじゃないわよね」

「はぁ…」



何故私がこんなにも悩んでいるかと云うと
私の片想いの相手、学校の人気者双子のジョージ・ウィーズリーが先週クィディッチで大活躍したのだ
あまり交流のない私とジョージ
それを見兼ねたチョウが頭を捻って捻って考えたのがプレゼント作戦
クィディッチのお祝いとして、ジョージにプレゼントを渡して一気に距離を縮めろと云うのだ



「もう片方の方と交流はないの?」

「フレッドのこと?」

「そうそう」

「フレッドねぇ〜…」

「おや、賢いレイブンクロー生が俺の噂?」



中庭で話していた私達の前に噂の人物、フレッドが現れた



「一人なの?ジョージは?」

「ジョージはフィルチに捕まったよ。あ、隣失礼するよ」



横に置いていた本を退けてフレッドの座るスペースを作っていたら反対側からチョウが私の服の裾を引っ張った



「なに?」

「あなたフレッド・ウィーズリーと仲いいの?」

「んー…まぁ、ジョージとよりは」

「おいおい冗談言うなよハニー!俺達は切っても切れない関係だろう」

「誰がハニーよ、あなたが冗談言わないで」



そう言って私の肩にましてきたフレッドの手をやんわりと払う



「ちぇっ、折角ジョージの好きなもの教えてやろうと思ったのに」

「……いつから話聞いてたの?」

「強いて言うなら『チョウ…』あたりからかな?」

「初めからってことね…」

「とにかくよかったじゃない!これでジョージにプレゼントをあげられるわね!」

「うん、まぁそうなんだけど…」

「それで?フレッド・ウィーズリー、ジョージ・ウィーズリーが好きなものは何なの?」

「なぁ、チョウ・チャン。そのフルネームで呼ぶのやめないか?」

「だってウィーズリーだとややこしいじゃない」

「名前で呼べばいいだろ」

「あら、あなただって私のことフルネームで呼ぶじゃない」

「あぁ、もう!やめましょうよ。フレッドの呼び名なんてなんでもいいわ」

「酷い!ジョージの好きなもの教えてやんねぇぞ!?」



中庭のベンチでぎゃあぎゃあと三人揃って騒いでいたらフィルチから解放されたらしいジョージが城の方から出てくるのが見えた



「ちょ…!ジョージこっちに来てない!?」

「安心しろお前に用があるんじゃない、たぶん俺がいるから来てるんだよ」

「そんなこと言ってるんじゃないの!いやよ!もう緊張し過ぎて口から心臓が出そう!チョウ戻りましょう!」

「何言ってるの!まだジョージの好きなもの訊いてないでしょ!?それにジョージと話すチャンスじゃない」

「そうだよ。何ならジョージと二人っきりにしてやろうか?」

「いいってば!無理よ!やっぱりプレゼントも無理!緊張する!」

「人間は適度な緊張も必要よ」

「適度なんてもんじゃないから!」



そんなことを言ってる間にジョージは目の前に来てしまった



「やあ、レイブンクローのお二人さん」

「こんにちはウィーズリー」

「こ、こんにちは…(死ぬ!)」

「フレッド!さっきはよくも逃げやがったな!」

「愛する相棒が身を呈して俺の代わりに捕まってくれたんだ。その相棒の分まで逃げなきゃ失礼だろ?」

「甘いな、俺はさっきフレッドだと名乗って来た。だから罰則を受けるのはお前だ!」

「はぁ!?嘘だろ!?」



言い合い?をしている双子を尻目にチョウは私に小声で訴えてくる



「何してるのよ!もうプレゼントはいいからクィディッチのこと褒めなきゃ!」

「無理無理無理無理!!!」

「何言ってるのよ!ほら、早く!」



チョウに軽く背中を押された反動で私は軽くジョージの腕にぶつかってしまった



「ん?何?」

「あ、ごめんなさい!」

「あぁ、全然構わないよ。君は大丈夫?」

「う、うん」

「そう、よかった」



ジョージはにっこりと笑った
その笑顔に爆発寸前な私はフレッドとチョウに目だけで助けを求めたけど逆に目だけでイケッ!と返されてしまった
うぅっ…後で覚えてろよコノヤロー



「あ、あの…!ジョージ!」

「何?」

「せ、先週のク、クィディッチ…!」

「あぁ、うん」



言え!言うんだ私!
かっこよかったってちょっと言うだけじゃん!
凄かったねでも可だよね!?
とりあえず何か褒めろ私!



「か、か…」

「ん?」

「かっ…」

「か?」

「かっこよ……ごめんなさい!」

「え?」

「「(えぇっ!?そこまで言って逃げるの!?)」」



不思議がるジョージと驚くフレッドとチョウを置いて私はベンチから立ち上がり城に向かって走り出した


アホか私!バカか私!
チキン過ぎるぞ私!
なんであそこまで言ったのに逃げ出したりしたんだ私!
だって緊張したんだもん!心臓が限界です!って言ったんだもん!あれ以上は無理無理無理!
って何自問自答してんだ私!


あぁ…神様…






(何やってんだアイツ…)
(帰ったら説教ね)
(なぁ、『かっこよ』って何?)



ジョージ好きだ!


090803

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