ジョージとリーが俺を置いてどこかに行ってしまったので談話室に探しに来た
けど、そこにはソファーに座りココアを飲んでいる女友達が一人いるだけだった
彼女とは仲が良くて、少しだけ気になる存在
彼女は笑顔が可愛てよく笑う素敵な女性だ
好きとかそんなのは…まだ分からない


彼女の隣に座り暫く談笑していると彼女が突然こんなことを言い出した



「恋や愛が全て甘いなんて間違ってると思わない?」

「はい?」

「よく言うじゃない砂糖の様に甘い恋とか」

「は、はぁ…まぁ知らないけど」

「恋や愛のイメージカラーがピンクや赤って言うのも気に入らないわ」

「…よく分からないけどハートのイメージカラーが赤とかピンクだからじゃねぇの?」

「恋がピンクって云うのは恋が甘いと思ってる人がイメージした色よ。きっと」

「別にいいんじゃない?」

「良くないよ」



彼女は無表情でそう言った
一旦何が言いたいんだろう
恋や愛が甘いかなんて俺は知らないし色なんてどうでもいい


だが、仮に色や味を付けるとしたらやっぱりピンクか赤で甘い味だと思う
だって水色や青なんて云う寒色系はありえない
味も酸っぱいイメージは無いし辛いイメージも無い



「わかった!」

「何が?」

「要するに君は素敵な恋をしたことがないからそんなこと思うんだよ!」

「違うわよ」



一言でバッサリと切られた



「素敵な恋なら沢山とは言えないけど、いくつかしたわ」

「彼氏居たことあるんだ」

「まぁ、二、三人しか付き合ったこと無いけど」

「へー、君が言う素敵な恋はその中の誰だった?」

「みんな素敵な恋だった」

「なんだそれ」

「だって本当のことだもん」



そう言うと彼女はコップに口を付けてクスクス笑った



「別に恋や愛が甘くないって言ってるわけじゃないの」

「俺にはよく分からないよ」

「そうね…じゃあ仮に今までの恋の全てが甘くてピンク色のイメージだったってことにしてもいいわ」

「今は?恋してる?」

「…してる。グレーでほろ苦いけどちょっと甘い恋、かな…あ、ときどきしょっぱいわ」



彼女はまたクスクスと笑った
恋がしょっぱい……俺には分からないな
苦い恋ならしないしグレーと云うのもよくわからない



「なんでグレー?」

「んー…その人にはね今彼女はいないらしいの」

「へーよかったじゃん!」

「…でもね、」

「うん」

「彼には凄く仲がいい女の子がいるの。彼女はとてもいい人でカッコイイ女性って感じかな、男女から人気があって私も彼女が大好き」

「うん」

「けどね、私彼女のこと大好きなのに、大好きなはずなのに…凄く嫉妬してる」

「嫉妬?」

「うん…彼と彼女が並んだ姿はとても絵になってて私それだけで凄く彼女が羨ましくて憎らしいの」



彼女はこんな自分汚くて醜い。だからグレーな恋なのだっと眉を下げて悲しそうに笑った



「汚くなんかない、醜くもない」

「フレッド…」

「大好きな人の横に自分じゃない誰かが並んでたら誰だっていい気はしないよ」

「でも…彼女は何も悪くないのよ?」

「それでも!嫉妬ぐらい誰でもするさ!」



思わずソファーから立ち上がって熱弁すると彼女はポカンとした表情を浮かべてからお腹を抱えて笑い出した



「なっ…!なんで笑うんだよ!?俺、変なこと言ったか!?」

「ふふふ、違うよ、違うの」



彼女は目尻に浮かべていた涙を拭くと、ふわっと笑って「ありがとう」と言った



「……うん!」

「ん?」

「やっぱりこの恋は少し甘いかな」

「色は?変わった?」

「それは…まだ、かな。問題はそれだけじゃないし」

「まだ何かあるの?」

「ううん、大丈夫よ」



そう言ってちょっと困ったような表情を浮かべた彼女に声をかけようとした瞬間、談話室にジョージとリーとロニィ坊や達が入って来た



「あ、フレッドやっと起きたのかよ」

「え、あ、あぁ…」

「じゃあフレッド、私これから図書館に行くからもう行くね」

「あぁ、また何かあったら言えよ」



彼女は短く返事をするとヒラヒラと手を振って談話室から出て行った



「今のフレッドの彼女?」

「ケツの青いロニィ坊やは黙ってろ」



その言葉にロンは顔を真っ赤にして怒った







(あいつ好きな奴いたんだな…)
(フレッドなんか言ったか?)
(いや、何でもない)


俺の恋がたった今苦くなってしまったことは俺以外誰も知らない



end


フレッド→←彼女

090806


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